~永い間あなたが追求していた、木の中にかくれていた生命の躍動が目をさましたといった感じでした。木も石も使方で薪になったり漬物石になるが、人間の愛情が加わると、こうも生命が花さくものかとおもいました、木喰や円空の山刀のあとを思い出されました。~ 1975年5月25日 更科源蔵
(柴崎木彫鑑賞会編『木塊 柴崎重行の心』昭和55年7月)
(木霊の再生 竹沢美千子著 プレコグ・スタヂオ)
みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
今回は自分の好きな文章から入らせていただきました。更科源蔵さんから八雲の柴崎重行さんに宛てた手紙の一文です。物づくりをしたり、またそれらを販売する自分にとって、忘れずにいたい文章ですね。
2023年3月中旬になりました。やっと厳冬期を脱しました。素直にうれしいしホッとしています。今年の3月は平年より暖かく雪解けがどんどんすすんでいます。雪ではなく雨が続いたりびっくりです。北国の春。気持ちがグーンと高まります(笑)。北国に住む方はこの感覚わかりますよね?
さて今回は、ニポポについて簡単にみていきたいと思います。ニポポって何ぞや?
いろいろ説はあるらしいのですが、有名な説を取り上げながら、写真なども掲載してみます。
それでは『木彫り愛』の心でよろしくお願いします。
ニポポって何?
ニポポってユニークな名前ですね。
グーグル先生に尋ねてみると、次のように書かれていました。そのまま載せておきます。
ニポポとは、樺太アイヌの人たちの言葉で「小さな木の子供」という意味を表します。その名の通り、アイヌの人たちは木の枝や幹を削って小さな人形を作りました。そして、これを身に着けて手に触れると事故にあうことなく幸せをもたらしてくれると信じて、お守りとして大切にしてきました。
もう一つ自分が伝え聞いた話しでは、アイヌの狩人が狩りで山などに入る時に、獲物をたくさん獲って山から無事に下り、帰ってこられるようにと、お守り代わりにもった木っ端が、ニポポになったと聞いたことがあります。
また、グーグル先生には次のようにも書かれていました。
「ニポポ」は1954年に創出されました。元々アイヌの人々は、子供が生まれた際に、「健やかに育ちますように」とお守りとして木の枝を子供の着物などにつけておりました。その木の枝のお守りをルーツとして、「ニポポ」というお守りを作ろうという原案になったと言われています。
赤ちゃんの産着にお守り代わりに入れておいた木っ端が、ニポポになったという話は聞いたことがありました。
赤ちゃんが健康で元気に育っていくようにと願いが込められた木っ端だったのですね。
そしてそのアイヌの生活・習俗をもとにして、現在のニポポの形になったのですね。
なるほど!
お守りなのですね!
ちなみにアイヌ語では、「二」は木、「ポポ」は子供や人形のことらしいです。
それでは、ニポポの写真をどうぞ!
アイヌの民芸品店で販売されているニポポと網走地方のニポポと、大きくわけて2つあります。では、まずアイヌ民芸品店で販売されているニポポから。
5つのニポポの写真を載せましたが、民芸品のニポポの見方は、材料によってだいぶ価格が変わります。
基本的に、ニポポではエンジュ材が一番いいです。もちろん埋れ木を使用したニポポなども稀にありますが、それは例外です。
イチイ材もよいですね。
エンジュかイチイか?
節などがなく、材料がとてもきれいでしたらイチイの作品も価値はあります。あとは彫りですね。イチイ材のニポポの彫りの細かいのはあまり見かけたことがありません。
材料がきれいで彫りが細かいのであれば、イチイ材のニポポも見逃せません。
でも、基本的にはエンジュが一番と覚えればいいかもしれません。あとは、センノキ、クルミ、シナノキです。シナノキは色を塗ったり、焼いたりしているニポポが多いかもしれません。シナノキの場合は彫りによって価格が変わります。ニポポの衣装などの彫り方を見ればいいですね。
最後に載せた写真は「リングニポポ」と呼ばれています。首の下の輪っかがクルクル動きます。おもしろいですね。アイヌ民族のアクセサリー(ペンダントなど)を表現しているといわれています。材料は主にシナノキです。
では、次は網走ニポポの写真です。
網走ニポポは、網走刑務所内で作られたニポポをいいます。顔かたちは決まっていてほぼ同じです(時代によって顔・形が違うってことがあるのかな?ここは宿題ですね)。
材料はエンジュ材のみです。夫婦とかのペアではなくて一体です。シンプルさの中に人を引き付けるデザインで、自分は昔、網走管内に遊びに行った時や網走地方のホテルに宿泊した時などは、網走ニポポのキーホルダーを購入したものです(懐かしい~)。
しかし最近は、網走ニポポの製造量がめっきり落ちて(なぜだろう?)、大きめのニポポが手に入らないみたいです。そう言えば昔は阿寒湖でも小さめでしたが網走ニポポを販売していましたが、ここ10年は手に入りませんね。網走ニポポをお求めのお客様はぜひ網走管内を旅行した時は、網走管内を出る前にニポポを買ってくださいね。
アイヌの民芸品で販売している夫婦のニポポも、もうほとんど製造はしていませんね。職人さん激減です。時代の流れなのですかね。
セワポロロ
セワポロロとは、元々、サハリン島(樺太)北東部と南部に居住する少数民族、オロッコ族=ウィルタが幸せをもたらすとして信仰した偶像を、木彫りの郷土玩具に製作したものであり、ニポポよりも原始的な形をしています。
この木彫りの郷土玩具を製作したのは、大広民芸店の店主・大広朔峰さんです。今では、そのあとをついで息子の大広朔洋さんが製作しています。
まだ自分は大広民芸さんのセワポロロを入手していないので今は写真は載せられないのですが、入手次第載せたいと思っています。ネットで調べればたくさんセワポロロの写真が載ってますね。大広民芸さんのことも掲載されていますので詳しく知りたい方はネットのほうでよろしくお願いします。
セワポロロの「セワ」とは神のことで、願い事をしたり、家のお守りにしたりしています。ウィルタの狩猟を願うお祭り(オロチョンの火祭り)の時などに作られていたそうです。その作った「セワ」を手に持って、「オロチョンの火祭り」の時に踊ったそうです。
大広民芸さんのセワポロロではないのですが、4年半くらい前、札幌の三越?丸井今井?どちらかで購入したセワポロロの写真を載せておきます。エスカレーターを上っていって(何階だっけ)降りた時、三十代?くらいのおしゃれな格好のお兄さんとデパートの制服のお姉さんがいて、「セワポロロ、作りました~」とお兄さんが。えっ、ななな何?と思い覗いてみると、これから紹介するセワポロロが一つだけポツンと。一つだけ?ほかに置いている様子もない。小さな説明書をいただきましたが残念ながらなくしてしまいました。今から思うと買っといてよかったぁ~って。なんかこのセワポロロ、いい感じ!自我自賛!あのお兄さんがやっぱ作ったのかなぁ~。記憶が定かではない(やばやば)。
なかなかいい感じですよね!そう思いませんか!まだあのお兄さん、(木彫りなどを)作っているのであろうか?いい買い物でした(笑)。
隣のビッキ風キツネは、その年札幌芸術の森美術館で開催されていた藤戸竹喜さんの木彫り作品の展示会の時に、記念に売店で購入したものでした(あくまで記念に、と思って)。これも何だかんだいい記念のキツネになりました。自己満足ですみません。
以上で、今回は終わりにします。網走にゆっくり行く機会に恵まれたら、大広民芸さんに行ってみよ~!
最後までお付き合いしていただきまして本当にありがとうございました!
これからも『木彫り愛』、『樹木愛』の心でよろしくお願いします!
お元気で!
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