みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
阿寒湖畔は、8月終わりにかけて、残暑になっています。
暑いといっても、30℃まではいっていません。
本州の32度以上にくらべたら、たいしたことはないので、27℃くらいで「暑い~、助けて~!」なんて言うと、本州の方々に笑われますね、きっと。
今回は、アイヌの物語に登場してくる『アイヌラックル』について、数回にわたって、簡単に(難しくならないように)みていきたいと思います。
アイヌの文学(ユーカラ、ユカラ、サコロペ、ハウキ)といっても、厳密には、いくつかのジャンル?に分かれるようです。
代表的なジャンルは、次の3つだそうです。
・神謡
・散文説話
・英雄叙事詩
アイヌラックルの物語は、どのジャンルに入るのでしょうか?難しいですね。英雄叙事詩のジャンルに入るのでしょうか?(神謡・散文説話・英雄叙事詩のそれぞれの説明は、また別の機会で)。内容では、散文説話(ウエペケレ)になりそうですね。
英雄の話には、いろいろな英雄のお話があります。
アイヌラックル以外(別名も含めて)の英雄は次のようなものがあります。
・ポイヤウンペ
・オキクルミ(アイヌラックルの別名)
・ウタスツウンクル(オタスツウンクル)
・サマイクル
・その他
地域によって主人公の英雄の名前の呼び方が違ってたりしますので、また英雄とその引き立て役の役割が入れ替わったりしているので、難しいのですが、詳しくはまた別の機会に紹介したいと思っています。
それでは、アイヌラックルについてみていきましょう!
その前に、阿寒湖温泉の観光大使の板垣恵介さん(漫画「グラップラー刃牙の作者)が、阿寒湖温泉オリジナルTシャツ「アイヌラックル」をデザインしてくれました。板垣さんは、中学生の時、阿寒湖に住んでいました。
それを紹介しておきます。
阿寒湖温泉のお土産屋さんで販売しています。
目次
アイヌラックルとは?
アイヌラックルは、アイヌ語の意味は、アイヌ・ラッ・クルで、「人間くさい神さま」、「人間と少しも変わらない神さま」です。
アイヌラックルの父と母
・父は、雷の神さま(シ・カンナ・カムイ)
・母は、チキサニ姫(ハルニレの木)
父 シ・カンナ・カムイ(雷神)
アイヌラックルの父親は、雷の神さま(シ・カンナ・カムイ)です。
諸説あるのですが、ざっくり言うと、地上で絶世の美女と名高いチキサニ姫(ハルニレの木)に見惚れていたら(一目惚れ)、天から足を滑らせて(または誰かに押されて)、その地上のチキサニ姫(ハルニレの木)の上に落っこちてしまい(落雷)、それでチキサニ姫が身ごもり、その後、誕生したのがアイヌラックルです。
余談ですが、雷の神が落っこちた時、地上の違う場所にあったオヒョウの木の姫も身ごもった、というお話もあります(オヒョウ姫の話は、こんがらがっちゃうので、また日を改めて)。
父の雷の神(カンナ・カムイ)には、その他にも子供たちがたくさんいます。結構、父は、いろいろと暴れん坊だったみたいに描かれていますね。「天上で一番の荒神」という表現もみかけます。「力」があったのでしょうね。
父、カンナ・カムイが関係するお話では、福寿草になってしまった末娘(美人の霧の神)のお話しなども有名ですね。
また、父、雷神(カンナ・カムイ)は、アイヌラックルの生誕の物語だけではなく、「上方の神」とも呼ばれ、竜と同一視され、いろいろな物語に登場しています。ちなみに蛇のアオダイショウは、雷神(カンナ・カムイ)のお使いだそうです。
アイヌラックルの父親は、雷の神のシ・カンナ・カムイです。力があり、天界一の荒神です。
でも、ちょっと、おっちょこちょいのところもあるようです。
地上の絶世の美女チキサニ姫(ハルニレの木)に見惚れすぎて、足を滑らせて、天から落ちてしまいました(落雷)。
それで、チキサニ姫は、アイヌラックルを身ごもりました。
また、雷の神(カンナ・カムイ)は、竜と同一視されることもありました。
母 チキサニ姫(ハルニレの木)
アイヌラックルの母親は、チキサニ姫(ハルニレの木)です。
ハルニレは、アイヌ語では、チキサニ。その意味は、“我々がこすって火を出す木”。
自分が以前書いたブログ(2021年4月12日)、「アイヌ文化とハルニレ」にも書かれているのですが、アイヌ文化では、ハルニレは、火の創造の神話に強く関係しています。
昔のアイヌの人々の生活では、ハルニレは、発火器の材料として、使用されています。大事な樹木だったのですね。
アイヌの神話では、火の神さまが、チキサニ姫(ハルニレ)とラルマニ姫(イチイ)をかかえて天から降りてきます。2番目に地上に降りたのが、ハルニレの木(チキサニ姫)だったそうです。
ちなみに1番目に地上に降りたのは、ドロノキです(詳しいことは、後日。魔神の木、疫病神になってしまった)。
ハルニレは、発火器として、アイヌの人々の生活にはなくてはならないものでした(善神)。”火”は大切ですよね。それで、アイヌラックルの母という重要な役割を与えられたのではないでしょうか。
結局、チキサニ姫(ハルニレ)は、雷に打たれて、2度、爆発を起こし、6日6夜燃えさかって、その美しい姿は、永遠に地上から消えてしまいました。
その爆発の中から抱き上げられたのが、アイヌラックルでした。
アイヌラックルを爆発の中から抱き上げたのは、女神のイカッ・カラ・カムイでした。
女神イカッ・カラ・カムイというのは、造化の女神で、天地創造の物語で、アイヌ(人間)の女性のモデルになったとされる女神です。
ちなみに、アイヌ(人間)の男性のモデルになったのは、国造りの神、モシリ・カラ・カムイです。
最終的には、母、チキサニ姫は、地上から姿を消してしまうのですが、その炭火は、あかあかと燃え続け、アイヌラックルが養育されるお城の「いろり」に入れられました。
火種の尽きないように大事に守られました。
それが、後に、息子、アイヌラックルの窮地を救うことになるのでした。
“母、強し!”ですね。
・アイヌラックルの母は、ハルニレの木のチキサニ姫。
・ハルニレは、発火器に使用され、アイヌの人々の生活にはなくてはならないものでした。とても大切な木でした。
・アイヌ(人間)と共に生きていくことになるアイヌラックルを、「火種」の尽きない「いろり」から見守りつづけました。
今回は、文化神アイヌラックルの父親、母親について簡単にみてきました。
神様がたくさん登場してきますので、混乱してしまいますよね。なるべく、シンプルにしてみましたが、難しいですね。
それでは、最後に、豊頃町と相生「道の駅」と阿寒湖のハルニレの木の写真をそれぞれ1枚ずつ。
それでは、みなさん、最後までお付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました。
お元気で!
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