13. アイヌ文化とハルニレ

ハルニレ阿寒湖畔春アイヌ文化

木霊・・・こだま。樹木に宿る精霊。木の精。精霊は山中を敏捷に自在に駆け回るとされる。木霊は外見はごく普通の樹木であるが、切り倒そうとすると祟られるか神通力に似た不思議な力を有するとされる(ウィキペディア)。

~(アイヌの人々は)かつて人間がとりまくすべてのものに、人間と同じような精神の働きを見、それをカムイと呼んで、人間とカムイの共存こそがこの世を豊かに暮らす道であると考えていた~(中川裕 千葉大学文学部教授「ゴールデンカムイ」アイヌ語監修者)

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。

今日の阿寒湖(4月12日)は、とても暖かいです。17℃ですよ~、びっくり。
空は快晴。そよ風。気分がいいですね~。

そろそろ阿寒湖の氷割りが始まるかなぁと思っていたら、案内がまわってきました。


阿寒湖の氷割り砕氷船のポスター(2020.4月)

日本で唯一
阿寒湖砕氷帯 
  観光遊覧
4月21日(水)より約1週間です
幸運の森桟橋
午前9時・10時・11時
大人¥1000
子供¥600
(注意)今年の春は、暖かいので、早めに乗船していただいたほうが、氷が砕け割れる様子を楽しめるようですよ~。
(観光汽船の人が言ってました)


ぜひとも、お時間がありましたら、乗船してみてください。

日本で唯一”ですから!

早いほうが、いいかもしれません。本当に今年の春は、暖かいです。

お問い合わせ先 阿寒観光汽船 0154―67―2511

目次

アイヌ文化とハルニレ

それでは、今回は、「アイヌ文化とハルニレ」について。
詳しく調べたい方は、資料がたくさんありますので、個々で研究してみてくださいね。

ここでは、有名なハルニレにまつわるアイヌの人々や神の話を簡単に紹介します。
これを読むと、鑑賞だけのハルニレだけではなくて、ハルニレとアイヌの人々の物語にふれられます。
またこれまでと違ったハルニレの見方になるのではないでしょうか。

樹木愛』の心をもって、リラックスしていきましょう!
それでは、よろしくお願いします。

前回は、豊頃町のハルニレを紹介しました。豊頃町以外でも、ハルニレの名木はたくさんあります。

・赤だもの一本木(石狩市)
・妹背牛神社のハルニレ(妹背牛町)
・神迎える楡(かんがえるにれ)(旭川市)
・名寄開拓記念木(名寄市)
・豊富のハルニレ(豊富町)など


「市町村の木」としても、多くの市町村が(ハル)ニレを指定しています。

このように、北海道では、ハルニレは、人々にとって身近な樹木になっています。やはり、それは、アイヌの文化でもハルニレが大切でだったからでした。

“火”とハルニレとアイヌ文化

アイヌの伝説の一説では、次のようなものがあります。

「国ができるとき、火の神は、右手にチキサニ姫(ハルニレの木)を、左手にはラルマニ姫(イチイの木)の手をとって降りてきた。」


火の神様が(地上に)降りてくる時、ハルニレも一緒だった!姫として。


そして、「その地上に降りていたハルニレ(姫)の上に雷が落ち、人間は、火を使うことを覚えた」。


人間は、ハルニレ(姫)を通して、”火の使い方を覚えた”のでした


このように、火の創造に関する神話には、どれもハルニレが関係している話しが多いのです。

アイヌ語では、ハルニレは、チキサニ。意味は、”我々がこすって火を出す木”

実際、昔のアイヌの生活では、ハルニレは、発火器の材料として、使用されています。
発火しやすい木だったらしいのです、ハルニレは。

『久摺日誌』(松浦武四郎)という文献では、絵入りで、アイヌの人たちが火をおこす様子が描かれています。

みなさんは、やったことありますか?火をおこすやつ。テレビ番組でよく見る、サバイバル生活なんとかなんとかって、あの木くずを棒ですって(摩擦して)、息をふーふー吹きかけて。
私自身は、やったことありません。少し、興味がでてきました(笑)。機会がありましたら、みなさんもやってみましょう!


余談ですが、雷の神(カンナカムイ)とチキサニ姫(ハルニレ)の間に生まれた子供が、文化神アイヌラックルです(この話しはまた後日に)

これも余談になりますが、札幌大学教授の本田優子先生の研究ノートでは、ハルニレは「植物神(人格神)」としてアイヌ口承文芸の中に登場する回数が一番多いそうです。その大部分はアイヌラックル(オキクルミ)誕生にまつわる物語らしいです。人類にとって”火”は欠かすことのできない大事な要素!

・アイヌ文化では、ハルニレは、火の創造の神話に強く関連している。

・アイヌ語では、ハルニレは、チキサニと言い、意味は、”我々がこすって火を出す木”。

・だから、大切!むやみに(ハルニレを)切らない。

薬用におけるハルニレ

アイヌ文化では、ハルニレは、としても使用されていました。

皮膚に腫れ物・できものが出たとき、ハルニレの内皮をたたいてやわらかくして、吸出し膏薬として使われていました。今でいう軟膏や魚の目とりのようなものですね。

内皮だけではなく、ハルニレの若枝を噛んで出る汁を患部に塗る、という使い方もあったらしいです。

ハルニレは、腫れ物・できもの・傷などの膏薬(こうやく)として使われていました。


以上、簡単にみてきましたが、やはりハルニレは、人々の役に立ってきたのですね。
ありがとうごさいます、ハルニレさん!


世界4大並木というのがあるらしく(自分は知りませんでした)、この4樹木です。

(ハル)ニレ
・トチノキ
・プラタナス
・シナノキ

ハルニレ(ニレ類)も選ばれています。みなさんのお近くの街路樹並木を確認してみてくださいね。

それでは、最後に阿寒湖のハルニレの写真2枚掲載します(4月と6月)。阿寒湖にはたくさんのハルニレが自生していますが、今回は、一番近くにあるハルニレです。

阿寒湖畔のハルニレ4月

樹木が4本ありますが、両端の2本がハルニレです。中の2本はイタヤカエデです。

ハルニレ 阿寒湖畔6月

なんか爽やかですね~!。

では、みなさん、『樹木愛』の心で、木々を観察していきましょう!

それでは、ごきげんよう。ありがとうございました!

(今回の資料)
・アイヌと自然シリーズ第3集・樹木編(アイヌ民族博物館)
・アイヌと自然シリーズ第4集アイヌと植物・薬用編(アイヌ民族博物館)
・斜里町立知床博物館アイヌ文化草と木樹
・「知りたい北海道の木100」身近な街路樹・庭木・公園樹(著)佐藤孝夫
・コタン生物記 樹木・雑草編Ⅰ(著・更科源蔵、更級光 青土社)
・カムイ・ユーカラ(著・山本多助、平凡社)
・アイヌ語で読み解く「ゴールデンカムイ」(中川裕著 集英社新書)

・研究ノート「アイヌ口承文芸にあらわれる植物および植物神について」(本田優子、札幌大学)

アイヌの英雄物語 アイヌラックル(1)父と母
アイヌの英雄物語 アイヌラックル(2)少年期
アイヌの英雄物語 アイヌラックル(3)活躍と結婚

木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(1)豊頃町のハルニレ
アイヌ文化とイチイの木
アイヌ文化とカツラ
アイヌ文化とエンジュ(イヌエンジュ)
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