~「完璧なものを作るのは、すごく難しい。一つのものを完成させるっていうことは、すごく難しい。俺にとっては、熊がそうだ。熊を完璧にできたっていうことは、等身大にしても、狼にしても、伝わるんだよ。だから熊がすべての基本。俺は芸術家なんて大嫌いだし、自分自身もなりたくない。ただの熊彫りでいたい」~
(熊を彫る人 p24 )
みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
11月に入り、寒くなるかと思いきや、そうでもなく、雨が多く、曇天の日々が続いています。
初雪は、まだです。例年より遅いですね。
初冬というより、晩秋。
紅葉(黄葉)は、そろそろ終わりですね。黄葉の期間が比較的長い。白樺の葉は、もう数枚を残すのみ。
黄葉の時期が遅いヤナギ類も、散り終わったのもあれば、ヤマナラシ(ヤナギ科ヤマナラシ属)のように、今まさに、散り始めているのもあります。
阿寒湖温泉は、ひっそりとしています(もっと賑やかになってほしい~!)。
さて、今回は、超ー有名木彫り作家『藤戸竹喜』さんの作品を少し載せたいと思います。
藤戸さんは、阿寒湖が誇る木彫り作家で、故人ですが、今でもその作品を探し求めて、阿寒湖の各商店を一軒一軒見てまわるお客さん(ファン)が後を絶ちません。ファンの方って、すごい!
実際、藤戸さんの作品は、百聞は一見に如かずで、まず見てください。見た人に感動を与えます。
つい最近まで、東京のステーションギャラリーで、木彫り熊の申し子『藤戸竹喜』のタイトルで、展覧会が開かれ、作品が並んでいたようです。北海道では、鶴雅グループのホテルで見ることができます。札幌駅でもアイヌの男性の像があります。
今回紹介する作品は、2017年10月14日~12月17日まで、札幌芸術の森美術館で開催された『現れよ。森羅の生命ー木彫り家 藤戸竹喜の世界』で出品された作品(約134点)です。東京ステーションギャラリーで、ご覧になった方もいらっしゃると思います。
木彫りの世界では、藤戸さんは、神のような存在ですので、今回は、私のコメントは、なし、です。ご勘弁くださいまし。
藤戸さんの思い出は、いくつかあるのですが、毎年、札幌で開催されていました見本市で、奥様とご一緒に周られていたのが、記憶に新しいですね。私のような者が挨拶しても、ニコニコしながら返していただいたことも嬉しかった思い出です。
その札幌芸術の森の展覧会で、一緒に写った写真は、私自身の宝物の1つになっています。
阿寒湖では、3人の木彫りの巨匠がいます。
・藤戸竹喜さん(1934~2018)84歳
・瀧口政満さん(1941~2017)78歳
・床ヌブリ(昭一)さん(1937~2014)77歳
それぞれに独特の作風があります。
"魂が揺さぶられる”作品が多いです。
4年前の札幌芸術の森美術館では、藤戸さんの作品を見ながら涙を流していた方々を何人か見かけました。
藤戸さんは、芸術家と言われるのを、嫌がっていたそうです。
「俺は、木彫りの職人。熊彫りだ」と(冒頭の引用)。
藤戸竹喜さんの生い立ちや経歴などは、いろいろな資料があり、本には、詳しく書かれていますので、詳細は省きます。
(AINU ART 風のかたりべ、熊を彫る人などの書物)。
・15歳から阿寒湖畔の吉田屋さんで熊彫りとして(3年間した後で、各地で修行)。
・1964年、30歳で独立。
それでは、作品を見ていきましょう。有名な作品ばかりですので、見たことがある方が多いと思います。魂を震わしてください!
以上、藤戸竹喜さんの作品でした。次回も藤戸さんの作品を10点くらい写真を掲載したいと思っています。
タイトルがわからない作品は、わかり次第、付け加えていきますね。
観音像の作品では、次のような話しがあり、製作に苦労していたようです。
~「観音さまを作った時は、なんぼやってもダメ。自分は日本人じゃない、アイヌなんだって思ったよ。血って不思議なもんでね、どうやって作っても観音さまにならずにメノコ(女性)になっちゃう。仏像じゃないんだよ。他の人がどう見ているかは知らんけどね。親父がよく言ってたよ、和人の作った熊とアイヌの作った熊は違うって。アイヌが作った熊は泥臭いっちゅうこと。土の匂いがするのかな。自然の匂いがするのかな。~
今、こうして写真を載せているだけで、当時の記憶がよみがえり、感動してしまいます。
また、4年前の芸術の森に戻りた~い!
では、最後まで、お付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!
みなさん、お元気で!
(参考資料)
・熊を彫る人(写真・在本彌生、文・村岡俊也 小学館)
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