53. 木彫りの熊(14)~イチイ(オンコ)① 逸品!阿野洋二郎さんの作品

カツラの黄葉アイヌ文化
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(柴崎重行75歳時のインタビュー)

~野生のクマ、あれは神様の作ったものだから完ぺきに違いない。それをまねしようたって、神様に勝てるわけがない。まねてもだめだから自分なりに内容をつかんで、自分のものを作ることが許されるんじゃないですか。~

(『わたしの北海道』朝日新聞、昭和52年9月13~17日)

木霊の再生 竹沢美千子著 プレコグ・スタヂオ p214

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。


今年の秋は、例年とくらべて暖かく感じますね~。ゆっくり季節がすすんでいますね。

と、のんきにかまえていると、急に雪が降ったりする時期ですので、油断禁物といきたいところです。


家庭菜園を久しぶりに眺めていると、あれっ!なんか小さな花が咲いている!この時期に!なんだなんだ!

しそ(大葉)の花(2021.10)
しそ(大葉)の花(2021.10)

詳しいことは、全然わからないのですが、しそ(大葉)の花って、今時期に咲くのですね。小さな花で、かわいらしいですね。クリスマスツリーの電飾のようです。ほんと、わからないことだらけですね。しそと大葉が、言い方が違うだけで、同じってことも知りませんでした。

小さくて、さりげない、かわいい花ですね。

癒されました~!


さて、今回は、イチイの材料で彫られた「木彫りの熊」の作品を、2回わたり、計4つ紹介したいと思っています。

まず、2点の作品を見てみます。

私のブログ「木彫りの熊の見方」でもこれらの写真を少し掲載していましたが、今回は、たくさん写真を載せます!

それでは、『木彫り愛』の心で、リラックスして、気楽な気持ちで、読んでみてくださいね。

今回の作品では、冒頭の引用文のように、作家さん自身なりに、思う存分表現しています。とても素晴らしい作品です(あくまで主観ですが・・・)。

では、よろしくお願いします!

1.阿野洋二郎作 表情熊a  立ち熊(左向き)イチイ材

1つ目と2つ目の作品は、故・阿野洋二郎さんの作品です。

阿野洋二郎さんとは、個人的には、お話したことはありませんでしたが、札幌で開催される見本市などで、そのお姿を拝見したことは何度もございます。いつも奥様とご一緒に、各問屋さんをまわっていらっしゃったようでした。

いまでも昭和新山で、「熊乃屋阿野みやげ店」は、健在でして、奥様と娘さんが経営していらっしゃるそうです。

木彫りの熊の好きな方とお話ししていますと、阿野さんの話しは、ちょくちょく話題に上ります。

それでは、1つ目の作品です。熊の表情や仕草が表現されている表情熊です。

阿野洋二郎作 表情熊a(左向き)正面(イチイ材)
阿野洋二郎作 表情熊a(左向き)斜め前から(イチイ材)

本当に、きれいなイチイの材料ですね。イチイは、節(ふし)が多く、取扱いにくい材料なのですが、見事ですね!

彫りは、毛彫りです。イチイの木では、毛彫りはとても珍しいですね。

鮭のエラ・ヒレが浮き彫りで、熊の肩の盛り上がりやウエストからお尻にかけての滑らかさ。

表情熊ですので、熊の仕草やわらかさ、豊かさがしっかり表現できています。さすがですね!

さらにもう少し写真を見てみましょう。

阿野洋二郎作 表情熊a(左向き)横から(イチイ材)
阿野洋二郎作 表情熊a(左向き)横から(イチイ材)

ボディラインから熊のしなやかさ、やわらかさが感じられますね。材料もホントきれいですね。作家さんのこだわりが、みえてきます。

2.阿野洋二郎作 表情熊b 立ち熊(右向き) イチイ材

阿野洋二郎さんの2つ目の作品です。

1つ目と似ているのですが、熊の向き鮭に手をそえているかいないかの違いです。

阿野洋二郎作 表情熊b(右向き) 正面(イチイ材)
阿野洋二郎作 表情熊b(右向き) 斜め前から(イチイ材)

右向きの立ち熊です。やはりイチイの材料は、きれいですね。

鮭をくわえている所に、手をそえています。もう少し写真を見てみましょう。

阿野洋二郎作 表情熊b(右向き) 横から(イチイ材)
阿野洋二郎作 表情熊b(右向き) 後ろから(イチイ材)

黄色ところは、イチイの外側の色です。着色はしていません。天然の色です。

この作品のイチイ材は、一切、塗料は塗っていませんね。透明のワックスやラッカーも塗っていません。

イチイの木は、雌雄異株(しゆういしゅ)で、オスの木とメスの木があります。この作品のイチイ材は、オスの木?かもしれません。

昔、他の職人さんから、こう教わりました。

色がすぐ濃く変わってしまうのが、メスで、オスはゆっくりゆっくり濃く変化していくんだよー

たしかに、イチイの作品をいろいろ見比べると、濃いのと薄いのがあります。どちらが良いとか悪いとかは、見る人の好みだそうです。私にそのように教えてくれた職人さんは、「俺は、オスのほうが好きだなぁ~、あくまで木の話しだよ~(笑)」とおっしゃっていました。

この作品では、熊のやさしさ、やわらかさがホント感じられます。手にとってみると、より一層、そう感じることが不思議ですね。

後ろから見た熊のおなかの垂れ具合がとてもいいですね~!

阿野洋二郎作 表情熊b(右向き) アップ(イチイ材)
阿野洋二郎作 表情熊b(左向き) アップ(イチイ材)

最後の2枚はアップの写真です。表情がいいですね~!


以上、今回は、故・阿野洋二郎さんの作品を2点、写真を中心に見てみました。

表現力のある魅力的な熊でしたね。イチイ材で彫られた熊は、ホントに少なく、さらに毛彫りされている作品は、もっと少ないと思います。

それでは次回は、イチイ材で彫られた作品の残り2点を少し見てみます。

最後までお付き合いしていただきまして、大変ありがとうございました!

お元気で!

(参考資料)

・木霊の再生(竹沢美千子著 プレコグ・スタヂオ)

木彫りの熊(15)~イチイ(オンコ)②吠え熊

アイヌ文化とイチイの木

木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(2)イチイ、津別町21世紀の森

「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方
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基本編3 塗装などの仕上げ方について(シナノキ)
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基本編5 エンジュ材・埋もれ木(神代木)の熊
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基本編8 覚えておきたい熊の形10種類 後半(6~10)形が複雑に
基本編9 表情熊について
基本編10 形のユニークな熊

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