木霊・・・こだま。樹木に宿る精霊。木の精。精霊は山中を敏捷に自在に駆け回るとされる。木霊は外見はごく普通の樹木であるが、切り倒そうとすると祟られるか神通力に似た不思議な力を有するとされる(ウィキペディァ)。
~(アイヌの人々は)かつて人間がとりまくすべてのものに、人間と同じような精神の働きを見、それをカムイと呼んで、人間とカムイの共存こそがこの世を豊かに暮らす道であると考えていた~(中川裕 千葉大学文学部教授「ゴールデンかムイ」アイヌ語監修者)
みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
衣替えの6月に入りました。阿寒湖は、まだ朝晩はストーブをつけたくなるほど寒い日があります。
本州の方が聞くとびっくりされるのですが、阿寒湖では、5月末ころまで桜がまだ咲いています。終盤ですけどね。
北海道の桜(道東)と聞くと、だいだい次の4つが挙げられると思います。
・エゾヤマザクラ
・カスミザクラ
・チシマザクラ
・サトザクラ
その他にも、有名なソメイヨシノ、シダレザクラなどありますが、道東方面では、この4つですよね。
道東地方での桜が咲く順番は、おおよそ、エゾヤマザクラ、カスミザクラ、サトザクラ(種類によるかな?)、チシマザクラですかね!?エゾヤマザクラが最初で後は、同じ時期くらいともいえますかね?
阿寒湖畔では、「桜の名所」なる場所や大きな広場はありません。
最近では、鶴雅グループさんのホテルの庭や敷地に見ごたえのある樹木が増えています。
阿寒湖畔で、エゾヤマザクラやサトザクラは、見つけたのですが、カスミザクラ、チシマザクラはまだ特定できていません。これはもしかして!?っていうのはありました。「ボッケ遊歩道」方面にありそうなのですが、まだわかりません。どなたかお教えいただければありがたいです。
それと、カスミザクラなどは、ズミやエゾノコリンゴの花に似ていませんか?
葉っぱや樹皮、蕾の色などの違いでわかりそうなものですが、花だけでは同じバラ科のせいなのか、難しく感じます。特に写真のみの判断になると迷ってしまいます。
花が咲く時期がかぶっていると余計わからなくなってしまいますね。自分では、ズミやエゾノコリンゴはまだまだ先(6月中旬)と思っているのですが・・・。意外と早いからなぁ~、う~ん、わからない!
やはり、樹木の下に何度も足を運んで、つぶさに観察することが一番ですよね。その時、双眼鏡がほしいですよね。背の高い樹木で葉っぱが上の方しかつかないものもありますから。樹皮だけで判断できない木々は、ホントたくさんありますね。
奥が深いなぁ~!植物は!
それでは今回は、エゾヤマザクラを中心に、アイヌ文化との関わりなども紹介していきたいと思います。
みなさんに、少しでも外に出ていただいて、自然の樹木・植物を観察しながら、大空を見上げて、宇宙を感じて、散歩して、日常の悩みやストレスを軽減していただければ、とてもうれしいです。
ぜひ『樹木愛』の心をもって、気楽にリラックスしてお読みくださいね。
では、よろしくお願いします!
目次
エゾヤマザクラ~阿寒湖畔
阿寒湖温泉のニュー阿寒ホテルの湖側のエゾヤマザクラの写真です。
なんといっても北海道を代表する桜は、エゾヤマザクラですね。全道各地で見られます。
高さが10~20m、太さが60~100cmになる落葉樹です。
花びらの色は、淡紅色~紅色。
ちなみにカスミザクラの花の色は、淡紅色~白色。チシマザクラは、淡紅色~白色。
エゾヤマザクラの葉っぱは、花と同時につくのですが、花が散った後に、葉っぱが褐色がかり(最初からなのか?)、緑色に変化していきます。
エゾヤマザクラの花が散った後、春の時期に褐色の葉っぱなんて、珍しいですよね。エゾヤマザクラのことを知らなかった頃には、”なんなのだろう?この樹木は?”なんて不思議に思ったことでしょう。
丹頂釧路空港通りに、エゾヤマザクラがたくさん植栽されています。花の時期は、きれいなんでしょうね!
エゾヤマザクラの名木としては、たくさんあるのですが、次の4つがよくあげられます。
・石割桜(伊達市)
・双子の桜(津別町)
・国泰寺の老桜樹(厚岸町)
・庶野の夫婦桜(えりも町)など
市町村の木としては、エゾヤマザクラは、9つの市町村が指定しています。「サクラ」は、11市町村が指定しています。多いですね。それだけ桜類は、私たちにとって身近な存在なのでしょうね。
阿寒湖畔で、エゾヤマザクラが咲く場所の地図をいつか作りたいですね!
アイヌ文化とエゾヤマザクラ
エゾヤマザクラは、アイヌ語で、カリンパニ。
・カリンパ=物にその皮(桜皮)を巻きつける。
・二=木
エゾヤマザクラの樹皮を物に巻きつけてあぶると縮んでよく締まるそうです。さらに磨いてあげると光沢が美しくでるそうです。
アイヌの人々の生活では、たばこ入れや刀の鞘、マキリ(小刀)の鞘矢筒、弓の柄に巻きつけたりしたそうです。また、船の側板、曲げものを綴じるのにも用いられました。
そう言えば、『ゴールデンカムイ』という漫画で、主人公のアシリパというアイヌの少女が、弓か何かに木の皮を巻きつけると言ったか言わないか、そんな描写があった気がします(すみません、はっきりしなくて)。
アイヌの人々の生活の中では、樹皮が一番の利用価値があったらしく、花などはほとんど関心をもたれなかったようですね。
また、知里辞典では、キノコ中毒の時には、エゾヤマザクラの樹皮を煎じて飲んだそうです。薬にもなるのですね。
アイヌ文化では、エゾヤマザクラは、鑑賞するよりも実用性重視!
特に樹皮!
物に巻きつけるのにとても重宝!
たばこ入れ、刀・マキリの鞘、矢筒・弓の柄などにまきつける。
船や曲げ物を綴じたりしていた。
サトザクラ 阿寒湖畔
サトザクラ(別名ヤエザクラ)は、自生のものはなく、園芸品種の桜です。
北海道内でみられる代表的な品種には次のようなものがあります。
・「関山」(かんざん) 大輪の八重咲きで濃い紅色
・「白妙」(しろたえ) 花が白色
・「鬱金」(うこん)「御衣黄」(ぎょいこう) 花の色が黄色や緑色になる
・「松月」(しょうげつ) 花が白色
・「糸括」(いとくくり) ピンクの花
たくさん園芸品種があるようですね。
名木としては、松前町の血脈桜(けちみゃくざくら)あります。
それでは、阿寒湖畔のサトザクラの写真です。
かわいい桜ですね。アイヌニポポやフクロウ・アイヌ模様のトーテムポールの”しぶさ”と絶妙に調和してますね(主観ですが)。
以上、簡単にエゾヤマザクラ、サトザクラを見てきました。
エゾヤマザクラは、全道に自生していますので、アイヌ文化とのつながりがありました。
市町村の木としてもたくさん指定されています。名木もたくさんあり、いつか訪ねて写真を撮りたいですね。
サトザクラは、とても花がかわいく、きれいですね。松前町の血脈桜(けちきゃくざくら)を生で見に行きたいですね。
また、カスミザクラやチシマザクラについても、近辺で咲いている場所を特定して紹介させて頂けたらと思っています。
それでは、今回はこれで終わりまーす。
みなさん、ぜひとも『樹木愛』の心をもって、これからもよらしくお願いします。
最後まで、お付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!
お元気で!
(参考資料)
・知りたい北海道の木100(佐藤孝夫著 亜璃西社)
・コタン生物記 樹木・雑草編Ⅰ(更科源蔵、更級光著 青土社)
・アイヌ植物誌(福岡イト子著、佐藤寿子挿画 草風館)
・アイヌと植物 樹木編(アイヌ民族博物館)
・アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」(中川裕著 集英社新書)
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