43. 木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(11)ハマナス 1

アイヌ文化

木霊・・・こだま。樹木に宿る精霊。木の精。精霊は山中を敏捷に自在に駆け回るとされる。木霊は外見はごく普通の樹木であるが、切り倒そうとすると祟られるか神通力に似た不思議な力を有するとされる(ウィキペディァ)。

~(アイヌの人々は)かつて人間がとりまくすべてのものに、人間と同じような精神の働きを見、それをカムイと呼んで、人間とカムイの共存こそがこの世を豊かに暮らす道であると考えていた~(中川裕 千葉大学文学部教授「ゴールデンかムイ」アイヌ語監修者)

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。



東京オリンピック(2021年夏)が始まっていますね。各種目、熱戦が繰り広げられています。応援しています!


阿寒湖は、今年の夏は、湿度が高く、とても暑くなっています。34℃になった日もありました。今は少し体がなれたので楽になりました(楽ではないかな?)。


小さな野菜畑から収穫がありました。キュウリやイチゴ、ミニトマト、シシトウなど。
これからが、より一層楽しみです。収穫は楽しいなぁ~(喜)

今年初のイチゴとミニトマトです

暑い夏ですので、外出するときは、必ず熱中症対策をしてお出かけください!


では、今回は、北海道の花に指定されている「ハマナス」を写真を中心に簡単に見ていきたいと思います。

みなさんに、少しでも外に出ていただいて、自然の樹木・植物をみて、大空を見上げて、宇宙を感じて、散歩して、日常の悩みやストレスを軽減していただければ、とってもうれしいです

ぜひ、『樹木愛』の心をもって、気楽にリラックスしてお読みいただければ、幸いです。

では、よろしくお願いします!

目次

北海道の花 ハマナス

1978年、ハマナスは、北海道の花に指定されました。

6~8月に咲くハマナスの花は、とても目立ちます。思わず足を止めてしまいますね。

有名な「知床旅情」の歌詞にもでてきますね。
知床岬に ハマナスの咲く頃~。いいですね~!


バラ科。葉っぱは、羽状複葉(うじょうふくよう)。果実は、8~9月に緑色から赤に熟していきます。


市町村の木(樹木)としての指定はないのですが、に関しては、石狩市や北見市、斜里町など15市町の花となっています。多いですよね。納得できるかも!

なぜならハマナスは、花だけではなく、果実や枝、根などもいろいろ人間の生活に役立ってきたからです。

ハマナスの花

それでは、阿寒湖畔のハマナスの花の写真です。

7月末のハマナスの花(阿寒湖畔)

ハマナスは、バラ科ですので “花”が主張!しています。
虫媒花ですかね?
バラ科はきれいな花がつくものが多いので、虫媒花かな。


ハマナスの花は、香りもよく、香水にもなっています。お土産屋さんでは、ラベンダー、スズランにつぎ、ハマナスも定番ですね。

ところが、アイヌ文化では、ハマナスの花は、エゾヤマザクラの花のようにあまり重視されていなかったみたいです。

むしろ花よりは、果実や皮、根やとげ、に価値が見出されていたようです。

アイヌ文化とハマナス

ハマナスは、アイヌ語で、「マウニ」といいます。果実は、「マウ」です。

違う言い方では、「オタロプニ」(砂浜のところにあるもの)というそうです。

ハマナスの果実

ハマナスの果実は、豊かな栄養素を含んでいて、ハマナスの実の成る地域に住んでいたアイヌの人々の生活の中では、欠かすことのできない食糧の1つでした。
特にビタミンCは豊富です。今では、加工品としてハマナスのジャムなどがあります。

ハマナスの実は、種子をとって生でも食べることができました。リンゴに似たらしいです。


アイヌの人々の冬場の保存食の1つとして、乾燥させて蓄えたりもしていました。


また、”熊送り”の時のハマナス粥(かゆ)として、天に向かう熊へのお土産として振る舞い、神々と分け合い、喜びを共にしていました。

「ハマナス粥」は、乾燥したハマナスの実を煮て、油を入れたものでした。

「ハマナス粥」は、アイヌ語で、マウ・チョッケプというそうです。


それでは、赤く熟す前の緑色のハマナスの実の写真をどうぞ!

赤く熟す前のハマナスの実(2021.7月)

アイヌの人々は、赤く熟する前のハマナスの実(緑色)も煮て、魚の油をつけて食べたりもしていました。
赤く熟したハマナスの果実の写真は、また後日!

ハマナスの木(樹皮)・根

ハマナスが、アイヌ文化で重宝されているのは、果実だけではありませんでした。

例えば、ハマナスの木は、削ってお茶にしたり、さらに細かく削って打ち身などの温湿布にしたそうです。


ハマナスの根は、腎臓の病に効いたそうです。ハマナスの根を煎じ粉末にし、一日コップ一杯飲むと効果があったそうです。

また、むくみがとれたりもしました。


アイヌの人々は、入墨をする時、ハマナスの根の太いところを削って水に浸しておき、施術部の消毒に使用したりもしていました。

このようにハマナスは、食糧にも、にもなりました


最後に、ハマナスの木は、タラノキのように鋭いトゲがたくさんあります。

アイヌ文化では、病魔を払う木として信じられていました。
家の戸口や窓のところにさしたりして健康を祈っていました。

若葉が咲く頃。トゲが目立つハマナス。魔除けのトゲ。

以上、ハマナスを写真を中心に簡単にみてきました。

アイヌ文化にとって、ハマナスは大切な木だったので、北海道のあちらこちらにハマナスに関係した地名が各地に残されています


北海道にゆかりのある石川啄木も次のような歌を残しています。

潮かおる北の浜辺の砂山の
かの浜薔薇(はまなす)よ
今年も咲けるや


それでは、最後まで、お付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!

また、ハマナスについては、少しずつ書いていきたいと思っています!

お元気で!

(参考資料)

・アイヌと自然シリーズ第3集 アイヌと植物 樹木編(財団法人アイヌ民族博物館)
・アイヌと自然シリーズ第4集 アイヌと植物 薬用編(財団法人アイヌ民族博物館)
・アイヌ文化 草と樹 郷土学習シリーズ第9集(斜里町立知床博物館)
・コタン生物記 樹木・雑草編Ⅰ(更科源蔵、更級光 青土社)
・アイヌ植物誌(福岡イト子著、佐藤寿子挿画 草風館)
・知りたい北海道の木100(佐藤孝夫 亜璃西社)
・アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」(中川裕著 集英社新書)


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