47. 木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(14)サビタ(ノリウツギ) シャンプー?

ノリウツギ(サビタ)5アイヌ文化
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木霊・・・こだま。樹木に宿る精霊。木の精。精霊は山中を敏捷に自在に駆け回るとされる。木霊は外見はごく普通の樹木であるが、切り倒そうとすると祟られるか神通力に似た不思議な力を有するとされる(ウィキペディァ)。

~いずれにせよ、カムイとは動物や植物や火や水のことだと言ってしまうと、「自然」と訳してもよさそうな気もしますが、先ほど言ったように、家や舟、臼や杵、鍋や小刀といった人工物もまたカムイであり、人間のまわりにあって、人間が生きるために何らかの関わりを持っているすべてのものを指しますので、「自然」ではやはりぴったりきません。むしろ「環境」と言ってしまったほうがよさそうです。~(中川裕 千葉大学文学部教授「ゴールデンカムイ」アイヌ語監修者)

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。


9月に入り、だんだん秋の気配が感じられるようになりました。空気が澄みわたってきました。朝晩は、マスクをするとちょうど良い温かさになったりしますね。夏のマスクは暑くて仕方なかったですね。


今回は、サビタを簡単にとりあげたいと思います。
北海道の人は、サビタ、と言うことが多いですよね。
サビタは、ノリウツギの別名です。植物図鑑などでは、ノリウツギで調べるといいかもしれませんね。

サビタという言い方は、東北地方でもよく言われていて、東北地方の方言からサビタという言い方がでてきているようです。


25年以上前に、車の駐車場でお世話になっていた方のご自宅に、大きなサビタの油絵が飾ってありました。
とても幻想的で、何か不思議な気持ちになったのを覚えています。
そのお宅の奥様が描いたもので、展覧会で賞をもらった油絵でした。
その当時、自分は、サビタがどんな樹木なのか全然知らず、サビタの名前が、おもしろいなぁなんてレベルでした。


それでは、サビタの写真を中心に、アイヌ文化との関わりなども少しおりまぜながらサビタの木を見ていきましょう!


みなさんに少しでも、外に出ていただいて、自然の植物にふれ、大空を見上げて、散歩して、日頃のストレスを軽減していただれば、うれしいです

樹木愛』の心をもって、リラックスして読んでみてくださいね。それでは、よろしくお願いします。

目次

サビタ(ノリウツギ)

サビタ(ノリウツギ) ユキノシタ科

高さ 3~5m 、太さ 10~15cm 落葉樹

7,8月頃、ガクアジサイのような白い飾り花をつけます。


漢字で書くと「糊空木(のりうつぎ)」。字の通り、表皮をはぐとネバネバしているなどが特徴(幹の内皮は、粘液に富んでいます)。

このネバネバは、和紙を漉(す)く糊(のり)を作るために使用されています。


それでは、サビタの花の写真です。

サビタの花(2021年8月初旬)

アジサイに似てますね。

葉っぱのつき方は、普通、対生で、3枚が輪状につきます。葉のふちは、細いギザギザがあります。

サビタの花(2021年9月初旬)
サビタ全体像(2021年8月初旬)
サビタの花(2021年8月初旬)

8月初旬から9月初旬までの1ヶ月間のサビタの写真です。
同じ場所です。アジサイのように飾り花がいっぱいになることがないですね。そこがまた良いのかもしれません。
庭木としては、物足らなさがある、なんて本に書かれていましたけど。

アイヌ文化とサビタ(ノリウツギ)

サビタのことを、アイヌ語では、ラスパニといいます。オプサといわれることもあるようです。


生活道具のサビタ

ラスパ・二の意味は、槍の中柄(なかご)にする・木です。

オプサとは、銛(もり)の柄の先、という意味です。

この木は、乾燥すると、とても堅くなるので、槍と穂先と柄をつなぐ中柄(なかご)に使用されました。
例えば、川底などの石にあたっても、だいじょうぶでした。


煙管(きせる)~サビタで作る道具と聞くと、キセルがすぐ思い浮かびます。火がついても燃え出すことがめったにないです。芯が抜けやすいので、作りやすかったそうです。アイヌ模様入りのパイプなども作られたそうです。


火ばさみ火箸(アペパスイ)


仕掛け弓の矢の柄(アイスプ)


熊祭り(イオマンテ)の花矢(チロシ)花矢とは、イオマンテ(熊祭り、熊送り)の時に用いる木製の矢で、美しい彫刻がほどこされていました。天の世界へと送られる熊のお土産になるもので、直接、熊を傷つけるものではありませんでした。


チシポの筒~刺繍などをするための針を入れる筒。サビタの木の3~5年もの(直径2.5~3cm)。アイヌ模様などが彫られました。

針を納める筒の話しになりましたが、刺繍などに使用される「針」は、とても高価なものだったらしいのです。


針一本は、熊の皮一枚かキツネの皮三枚ととりかえた」の言い伝えもあるくらいです。

だから、アイヌの女性たちは、針を納めたチシポをモウル(肌着)の胸紐につけ、肌身離さず、持ち歩いたそうです


シャンプーとして~サビタの皮をお湯の中に入れると、ネチャネチャするので、それで髪を洗ったそうです。また、違うやり方では、サビタの木の真皮を乾かしておいて、必要なときににして、布に包み、洗髪料にしたそうです。あまり泡はでなかったようですが、髪はツヤツヤになったそうですね。


疥癬(かいせん)対策として~真皮を煎じて、疥癬にかかったときの洗剤に。疥癬とは、ダニによる皮膚病。


・アイヌの楽器として有名なムックリは、サビタの木が使用された事もあるようです(現在は、竹製がほとんど)。


というように、アイヌの人々の暮らしの中では、たくさんの用途でサビタの木は、活躍してました。


薬としてのサビタ

サビタの木は、道具だけではなく、薬としても使用されていました。


湿布~内皮を削って、袋の中に入れて、お湯をくぐらせて、絞って、痛いところに貼ったそうです。


便秘、膀胱や肝臓が悪い時~枝・皮を煎じて、お茶がわりにたくさんどんどん飲んだそうです。


以上、簡単ですが、「アイヌ文化とサビタの木」をみてきました。

また、これからいろいろわかりましたら、どんどん付け加えていきたいと思っています。ほんと、わからないことだらけですからね。

身近な樹木が、昔、いろいろと人々の生活に(主にアイヌの人々)役に立ってきたことを想うと、すごいなぁって感じます。

現代は、所有の問題があって、勝手に木を切ることは、そう簡単にはできません。

長い歴史の中で、自分が普段目にしている樹木等が、何かしらの特性をもっていて、人間の暮らしに貢献してきたことを知ると、やはり自然の環境は大事で、少しでも良くしていきたいなぁ~、なんて考えます。


それでは、みなさん、最後までお付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!

お元気で!

(参考資料)
・アイヌと自然シリーズ第4集 アイヌと植物 薬用編(財団法人アイヌ民族博物館)
・コタン生物記 樹木・雑草編Ⅰ(更科源蔵、更級光 青土社)
・アイヌ植物誌(福岡イト子著、佐藤寿子挿画 草風館)
・アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」(中川裕著 集英社新書)


アイヌの楽器~ムックリ・トンコリ
アイヌ文化とハルニレ
アイヌ文化とイチイの木
アイヌ文化とカツラ
アイヌ文化とエンジュ(イヌエンジュ)
アイヌ文化とオニグルミ

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