55. 木彫りの熊(16)~もっこ背負い熊 いい仕事してはりますなぁ~!

ナナカマド紅葉アイヌ文化

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。


10月も末近くなりました。阿寒湖畔では、そろそろ初雪のたよりが来そうですね。例年ですと、10月20~31日の間に、雪が軽く降ります。2,3日前に、夜の10時すぎに、10分間くらい霙(みぞれ)になりましたが、初雪にはなりませんでした。

今年の秋は、長いですね。いいことかも!

暖かいほうが体が楽ですね(暑すぎるのは嫌ですけど(笑))!

灯油が高値でびっくり!暖かい日々が続いてくれますように!(祈ります)


さて、今回は、「もっこ背負い熊」という少し珍しい木彫りの熊を1点、とりあげてみたいと思います。

以前にも写真は載せていたのですが、いろいろな角度からの写真をたくさん見ていきます。

それではみなさん、『木彫り愛』の心で、リラックスしていきましょう!

もっこ背負い熊

もっこ」とは、なにか?

今となっては、建築業や漁業の仕事以外の方々には、耳にすることが、少なくなった言葉かもしれません。

お年寄りの方は、知っていると思いますが。

もっことは、縄や竹・蔓を編んで作った運搬道具です。
土木工事などで、土砂を担いだり、背負ったりしていました。

北海道では、よく取り上げられるのが、ニシン漁での風景で、木で作られたもっこを担ぐ人の姿ですね。

20~30キロのニシンを担いでいたらしいです。ニシンをたくさん捕ってきた船からの荷降ろしで、船から陸に運びます。

ニシン御殿の名前のように、明治・大正・昭和初期までニシンがたくさん捕れたのですね。繁盛繁盛!もっこを担いだ人々が長蛇の列をなしている当時の写真などがあります。

時代ですね~(しみじみ)

今回、紹介する木彫りは、熊ちゃんがもっこを担いでいます。もちろん、現実にはありえないですよね(笑)

擬人化ですね。

それでは、見ていきましょう!

(1)正面から

もっこ背負い熊1 正面
もっこ背負い熊2 正面

上手く表現していますよね~!

毛の彫りかたは、細い丸刀での「毛彫り」ですね。毛彫りの長さは、短めです。手数が多いです。手間をかけています。

肉好きもよく、肩から腕にかけての盛り上がりと太ももの力強さを感じます。

(2)斜めから

もっこ背負い熊3 斜めから
もっこ背負い熊4 斜めから

顔がかわいいですね!楽しそうに仕事をしているのですかね?何よりですね!

また、「背負っている」という臨場感がありますよね。

とてもレベルの高い彫り方表現力です。

では、次を見てみましょう!

(3)横から

もっこ背負い熊5 横から
もっこ背負い熊6 横からアップ

縄をしっかりもって、前方に体重をかけている感じが、なんとなくわかりますね。

何度もしつこいですが、すごい表現力ですね!

(4)後ろから

もっこ背負い熊7 後ろから
もっこ背負い熊8 後ろから

縄と熊ちゃんの背中のところが、見事ですね。

「縄、太っ!」って少し思うと同時に、それを担いでいる熊ちゃんのたくましさを感じました(笑)

もっこのカゴの部分は、何かを乗せてもよいように細工されています。

次の写真にいきましょう!

(5)もっこのカゴ、上から

もっこ背負い熊9 カゴにウィスキーのビンをのせる
もっこ背負い熊10 上から

もっこのカゴのところに、ウィスキーのビンをのせています。ワインのビンも斜めに寝かせてオーケーです。

また、置くところは、水平ですので、花瓶などをのせて、花を生けてもよさそうです。

もちろん、なにも置かないで、そのままでも良いですね!

みなさんなら、どうしますか?


以上、今回は「もっこ背負い熊」について写真を中心にみてきました。

ほんと、彫り・表現力、レベルの高い木彫りの熊でしたね。

作家さんは、残念ながら不詳ですが、この作品は、トミヤ民芸さん所属の作家さんのどなたか、ですね。

トミヤ民芸さんは、旭川市の老舗の木彫り問屋さんで、今でも続いています。

代表的な作品は、『熊ぼっこ』です。知っている人も多いのではないでしょうか(熊ぼっこは、また、いつか、とりあげてみたいですね)。

当時は、トミヤさんに所属していた作家さんは、たくさんいらっしゃったので、「もっこ背負い熊」の作り手がどなたか、今のところ詳しくわかりませんが、機会がありましたら、関係者に聞いてみたいと思っています。

それではみなさん、最後までお付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!

お元気で!


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