みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
このシリーズ最終回となりました。これまで、たくさんのフクロウの木彫りを見てきました。
ホント多種多様な表現の仕方がありますね。
作家さんにそれぞれの個性がありますね。その意味では、絵画鑑賞に似ています。
もちろん、細かいところの彫りやこだわりの技術があり、作家さんの腕の見せ所はたくさんあります。羽を広げたフクロウなんて、とても彫るのが難しそうですよね。
それでは、復習になってしまいますが、フクロウの見方のポイントを整理してみましょう!
木彫りのフクロウの見方の優先順位
1.見る人の好み・感性
2.材質
3.彫り・形・大きさ
1.に関しては、どんなに彫りや形が良くても、(フクロウの表情などが)自分の好みではない場合です。かわいい感じが好きなのに、わざわざ、いかめしいもの(怖い表情のもの)を選ばなくてもよいと思います。
2.に関しては、フクロウの木彫りは、木彫りの熊にくらべて、いろいろな材料で彫られています。材料によって、着色したり、焼き目を入れたり、そのまま素材を生かしたりします。
一概には言えないのですが、埋もれ木(神代木)・エンジュ・イチイは、他の材料にくらべて、材料の価格が高いかもしれません。他の材料は、シナノキ・センノキ・クルミなどですね(時代や季節によって原木の材料の価格は変わります)。
3.の彫り・形・大きさに関して。
まず、大きさです。フクロウの木彫りを選ぶ際に、どのくらいの大きさが欲しいのか、それがおおよそ決まっていると選びやすいかもしれません。
次に、形ですね。
・普通の形(フクロウが止まり木などに留まっている時の静止状態の形)
・翼・羽を広げている形(これもいろいろな広げ方があるのですが、あくまでも、おおまかに)
そして、彫りです。
・一番わかりやすいのが、台座やツメです。フクロウの数。フクロウの目や胸の彫り、羽の彫り方などがありますが、これは、作家さんの個性がすごく出てくるところなので、なかなか評論が難しいですね。一応、これは目安です(例えば、木目を見せるのが得意の作家さんは、彫りよりも素材の木目が一番美しくなるように、仕上げを心がけています)。
次に、シマフクロウにまつわることで、よくこのような質問をされます。
「フクロウって、なんで、こんなにあるの~?」
「フクロウって、何者なの~?」
これに関しては、長くなりそうなので、簡単にまとめます(有名な言い伝えを載せておきます)。詳しいことは、また機会をあらためて。
1.アイヌの国造り伝説(創生神話)の1つでは、シマフクロウは、アイヌ(人間)の世界を造るために、次の神様とともに最初に地上に降りてきました。
・国造りの神(モシリ・カラ・カムイ)
・勇気があってよく働く犬の神(レエプ・カムイ)
・ワシフクロウ(シマフクロウ)の神(コタン・コロ・カムイ、モシリ・シカマ・カムイ)
・少し遅れて地上に降りてきた、造化の女神(イカッ・カラ・カムイ)
計4柱。
シマフクロウ(コタン・コロ・カムイ)の主な役割は、アイヌの村(国)を、悪いものから守る見張り番でした。
2.アイヌの言い伝えでは、(体力が弱った)シマフクロウがアイヌの村に飛んできた時の、対応の仕方で、(その村の)幸不幸が決まってしまった。
シマフクロウが村に飛んできた!
・シマフクロウを崇め奉り大切にした村・・・大いに栄えた!
・シマフクロウを厄介者として粗末にした村・・・滅びた。
前置きが長くなってしまいました。それでは、今回は、少し変り種のフクロウの木彫りと自分が印象に残っている作品(1つ)を簡単に紹介していきます!
では、みなさん、『木彫り愛』の心で、リラックスして、気楽にお読みくださいね!
よろしくお願いします。
目次
変り種の木彫りのフクロウ
・幸運玉シマフクロウ(干場作)
1つめは、干場作の幸運玉シマフクロウです。台座が、妙な形をしていると思ったら、中に、丸いものが入っています。
すべて1本で彫られています。すごい!おもしろいですね~!
・打出の小槌シマフクロウ(賀上作)
次の作品もユニークな作品です。大黒様がもっている打出の小槌を題材にしています。
賀上隼敬作の珍しい作品です。それにしても、゛縁起が良すぎませんか!”(笑)
”お金ざっくざっく小槌に、幸福をもたらしてくれるフクロウだなんて!”(嬉)いい事、起こりまくり!(汗)
この作品も一本の木から彫られています。
・見ざる聞かざる言わざる?フクロウ(作者不詳)
「見ざる聞かざる言わざる」の3猿を、フクロウにした作品です。
有名な日光の3猿をフクロウにした作品です。ユニークですね。材料は、センノキです。すべて1本の木から彫っています。羽やツメ、台座などしっかり彫られています。
・フクロウが魚釣り?(中泉大 作)
エンジュ材と流木を使用した、ちょっとしたインテリアに良さそうな作品です。
中泉作のユニークでおしゃれな作品です。25年以上前、阿寒湖にいらした作家さんです。阿寒湖のアイヌコタンの秋辺さん(デボさん)のところで修行されていたそうです。各地で個展などを開いていたそうです。最近では、なかなか作品が見られないですね。どうしているのでしょう。
シンプルですが、しっかりとした彫りです。エンジュの材料にアイヌ模様は、難しいですね。フクロウの他にも、魚類を彫っていたそうですね。
軽いので、ちょっとしたおしゃれな壁掛けにとっても良さそうです!流木がまた、いい味を出していますね。
以上が、少し変り種のフクロウの作品でした。
私が個人的に、すごいなぁ~って思う作品は、たくさんあるのですが、特にこれは!という作品を、最後に1つ紹介します。
斉藤慎一作 シマフクロウ (シナノキ)
顔の好みは、人それぞれです。この作品は、形と彫りにこだわった作品です。どの箇所も、何というか、(恐縮ですが)正確っていうか、バランス良く彫り上げています。
斉藤さんは、動物の骨格まで丁寧に研究されていたそうです。本格的です。
表情はもちろん、羽やツメ、台座、胸などの彫りに注目して見てみましょう!
それでは、続けて見てみましょう!
いかがでしたでしょうか?8枚一気に見てみました。
顔は、もちろん好みはあります。でも、゛彫り”、すごくないですか?すごいですよね~!
そういうわけで、自分がすごいなぁ~って思う作品を紹介させていただきました(自己満足ですみません)。
実際、実物と写真で見るのは、若干違う印象を受けるかもしれません。
ぜひ、お時間がありましたら、民芸店まで足を運んでみてくださいね。
8回にわたり、「木彫りのフクロウの見方」をみてきました。また、足りないことなどがありましたら、加筆・修正していきたいと思っています。そして、これからもフクロウの作品をいろいろな角度から紹介できたらいいなぁ~と考えております。
最後まで、お付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました。
みなさん、ぜひ、『木彫り愛』の心で、これからもよろしくお願いします。
お元気で!
木彫りのフクロウの見方1 台座の彫り方
木彫りのフクロウの見方2 フクロウの数・ツメや目など
木彫りのフクロウの見方3 エンジュ材のフクロウ
木彫りのフクロウの見方4 埋もれ木(神代木)のフクロウ
木彫りのフクロウの見方5 イチイ材・センノキ・クルミのフクロウ
木彫りのフクロウの見方6 羽を広げたフクロウ 技術力
木彫りのフクロウの見方7 羽を広げたフクロウ 動と静
木彫りのフクロウ ⑨フクロウ観音
アイヌの英雄物語 アイヌラックル(2)
木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(5)ハリギリ(センノキ)阿寒湖編
木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(16)シナノキ(アカジナ)
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