みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
先週の台風が過ぎ、秋分の日を含む3連休最終日から現在まで(25~27日)最高の天気が続いている阿寒湖です。
外に出るとホント「気持ち良かぁ~」と。例えるならば、最初に温泉に浸かった時、「ふぅ~」と目をつむる感じ。ぽかぽか。
思わず空を見上げるとそのまま自分が溶けてなくなる感じになります。
また秋の阿寒湖では、今まさに、樹木たちの実がいろいろたくさんなっています。
身近にみられるナナカマドやミズナラ、カシワにイチイ、ホウノキ、ニオイヒバ、オニグルミなど(まだまだたくさんあります)。癒されますね。樹木の(自然の)宝庫ですね、阿寒湖畔は!
秋の阿寒湖はこのようにいろいろな樹木などの実が色とりどり豊富です。秋の阿寒湖は魅力的ですね。ホントおすすめ観光スポットです。
では今回は、ツリバナ、マユミ、ニシキギについて写真を中心に見ていきたいと思っています。
が、・・・が、タイトルに書いたように、特にツリバナとマユミの区別がなかなかできな~い!(泣)(ニシキギは何とかなったような気がする~!?)
ニシキギなのか?ツリバナなのか?マユミなのか?まったく違うものなのか?
図鑑と自分で撮った写真をにらめっこしながら、また現地で観察しているにもかかわらず、この両者の違いがつかめない。ツリバナとマユミ。決定打が出ない。参考書も読んでいるのだが・・・・・。頭では理解しているのだが・・・・・。苦戦。長期戦でのぞみたいと思っていますので、その辺よろしくお願いします。
それではみなさん、『樹木愛』の心で、リラックスしてお読みくださいませ!
目次
ニシキギ(錦木)
正解かどうかはっきりしないのですが、これは何とか正体をあばくことができたのではないか、と思うニシキギから始めたいと思います。
まずニシキギ科について。なんと約45属500種あるそうです。多いですね(たぶん)。
今回、ニシキギだと思った決定打は、「若い枝にはコルク質の翼(よく)があり、紅葉が美しい」という特徴でした。翼(よく)とは、左右にはりだした(はみでた)ものらしいです。ニシキギの若い枝の左右両脇に確かに見慣れないものを発見!思わず「これかぁ~!」と声が出ました。まさしく若い緑の枝がコルク質の何だか茶色いものにはさまれている。両脇を抱えられた若旦那のように(笑)。
もう1つの特徴は紅葉が美しいこと。ニシキギ、ツリバナ、マユミの中で(条件にもよるが)一番きれいだとのこと。あとニシキギの葉っぱがツリバナやマユミより小さいということ。
翼、紅葉、葉っぱの大きさ。この3つの特徴をくらべて「ニシキギ」と認定(喜)!(あくまで自分の中で)
それではまずニシキギの紅葉、そして枝に注目して翼を見てみましょう!
ニシキギの葉っぱのつき方は対生ですね。それでは紅葉と翼、対生の緑の葉っぱの写真です。
ニシキギの実はまだ赤くなっていませんでした。観察するのが楽しみです。若枝につく翼。これがニシキギとわかる決め手ですね。
ニシキギは、ツリバナやマユミにくらべて紅葉が早い気がします。図鑑や参考書を見てみると、ニシキギの紅葉については「最高!」と書かれているものが多いです。ツリバナも紅葉がきれいと書かれています。マユミは紅葉のことはあまり書かれていないような気が・・・。条件によってはきれいに紅葉するとは書かれていました(すみません、マユミさん)。きれいに紅葉するという点から考えると、マユミは除外されるのでしょうか?う~ん、難しい!
二日後、紅く色づき始めたニシキギの実を発見!
ツリバナ?マユミ?それとも・・・
ニシキギ、ツリバナ、マユミの中で紅葉の美しいのは?
自分の中では、今のところ1番ニシキギ、2番ツリバナ、3番マユミかな!?では、実がよりピンクに近いのは?自分の中ではマユミかな!?
ツリバナとマユミの違いは、樹木図鑑によると、わかりやすいのが「実の形・色・裂け方」らしいです(他にもありますが)。
ツリバナ・・・実の形は球形。紅く熟す。5つに裂ける。
マユミ・・・実の形は倒三角形で4稜があり、先がくぼむ。淡紅色~紅色。4つに裂ける。
この時期はすでに実は裂けものが多く、5つ裂けがツリバナ、4つ裂けがマユミと覚えて現地調査に挑んだところ・・・・・。
ちょっと待て!おい!マ、マジかよ・・・!
4つ裂け、5つ裂けが混在してるやんけぇ~(汗)。
はい!以上、現場からでした~(泣)と退散したい気持ちでしたが、観察を続けました。
色は「赤」。淡紅色ではなかった。それでは、何枚か写真を見てみましょう!
まず、実の色からツリバナか!?熟した赤!マユミはいろいろな図鑑を参考にするとピンクが多い。
それにツリバナはもしかしたら4裂けも5裂けも混在するのかもしれない。もう少し観察してみました。
樹皮はどうだろうか?
図鑑の説明によると、ツリバナの幹は、灰色で平滑。白い斑(まだら)がある。
こ、こ、これはツリバナの幹ではないか!まさしく!そうだ!(おおげさでスミマセン)
また、ツリバナの芽は枝先でとがるらしく、他のマユミやニシキギと見た目が全然違うようです。マユミの枝先の芽は丸みがあるそうです。
お~これは決定打になるか!期待を胸に次の写真を見てみましょう!
枝先の芽がとがっていましたね。自分が観察していた樹木はツリバナの可能性が大ですね。ホントわからないことだらけです。少しずつ学んでいきたいですね。
ツリバナの実は5裂けだけではなくて4裂けもあるっていうことですね。納得です。
この章の最後に出番のなかったマユミの写真を数枚載せておきます。
木彫りの材料として
木彫りでは、ツリバナやマユミのことをエリマキと呼んでいます。正確にはどちらの木がエリマキなのか今のところわかりません。図鑑では、ツリバナをエリマキと書いてある方が多いですが、図鑑ではない樹木の本ではマユミをエリマキと。木彫りの職人さんに尋ねても「どっちもいいでないかい!」と。自分の中ではツリバナのことをエリマキと呼ぶほうが優勢なのかな!?なんて思っていますが・・・。
エリマキの特徴は、白くなめらか。材質は堅く、木目が細かく緻密。木彫りではそんなに太い材料にはならないので、主にアクセサリーに使用される場合が多いです。それでは、エリマキの原木と作品を少し見てみましょう。
実際、作品をさわってみますと、ホントなめらかです。シナノキやセンノキとはまた違った味があります。貴重ですね。
では、最後にアイヌ文化ではどのように使用されていたのでしょうか。
エリマキ(ツリバナ・マユミ)は、次の道具などに使用されていました。
・弓 弾力があって折れにくいことから。
・箸、杓子などの食器 堅くて丈夫なことから。
・花矢の鏃(矢じり) 熊送りの時の、神の土産にする花矢の鏃(矢じり)や弓。やじりとは、矢の先端のとがった部分。
アイヌの人々の生活道具や儀式などに広く使用されていたのですね。
以上、今回はニシキギ、ツリバナやマユミを見てきました。また発見がありましたら追記していきたいと思っています。ホントわからないことばかりです。楽しみながらやっていきたいですね。
最後までお付き合いしていただきまして本当にありがとうございました!お元気で!
(参考資料)
・知りたい北海道の木100(佐藤孝夫著 亜璃西社)
・新版北海道の樹(辻井達一、梅沢俊、佐藤孝夫著 北海道大学図書刊行会)
・コタン生物記Ⅰ(更科源蔵、更級光著 青土社)
・アイヌ植物誌(福岡イト子著、佐藤寿子挿画 草風館)
・樹皮ハンドブック(林将之著 文一総合出版)
コメント