74. アイヌ文化とお花(民芸品でよく見かけるお花)~花より・・・!?

双岳台から望む雄阿寒岳2022年3月末アイヌ文化
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みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。

4月に入り、年度替わりになりました。北海道の観光地で働いていらっしゃる方は、”今年度こそ”、と気合を入れていることでしょう。不安はありますが、楽しみにしております。
まぁ、何かと落ち着かない気持ちでいる方々が多いと思います。なるようになる!開き直っていきましょう!ご機嫌でいましょう!

先日、久しぶりに外出しました。この3ヶ月間、本当に巣籠り状態でした。やっぱ、外に出て、遠くを眺めるのはいいですね。気持ちよかったです。しみじみ(外に出て散歩することの大事さを)痛感しました。

近場の双湖台双岳台に行ってみました。
双湖台の駐車場は、まだ30cm以上の雪が積もっていて、立ち入りできませんでした。
それでは、双岳台から眺めた雄阿寒岳です。左奥ににちょこっと見えるのが、雌阿寒岳と阿寒富士です。

2022年3月29日 双岳台からの雄阿寒岳


すがすがしいですね。本当に来てよかった(やっと巣籠り明けになるかな!?)

続けて双湖台の(イヌ)エンジュ並木の写真です。

双湖台のイヌエンジュ並木 2022年3月29日


駐車場から少し登る高台には、(積雪が多くて)行けなかったのですが、このイヌエンジュ並木が見られただけでもうれしかったです。これだけのエンジュの並木がある場所を自分は他に知らないので、厳冬を耐え忍んだ(エンジュの)この樹木たちにまた出会えたのは、感謝です!
アイヌの人々は、エンジュの木を、決して粗末にはしなかった、という言い伝えがあります。エンジュの木は、(アイヌの人々の)生活に何かと役立っていたからです。(エンジュを)春夏秋冬、観察してみると、実際の用途で役立つだけではなく、自然の中のエンジュもまた人々に癒しをあたえてくれる、そんな優しさに満ち溢れている気がしました。


それでは、今回は、アイヌ文化とお花です。花といってもたくさんありすぎますので、北海道の民芸品店の木彫りで、よく扱われる花にしぼって、アイヌ文化との関わりを含めながら簡単にみていきたいと思います。

では、『木彫り愛』の心で、リラックスしながら、読んでみてくださいね!よろしくお願いします。

目次

アイヌ文化とハマナスの花

アイヌ文化とハマナスの樹木については、以前のブログ(木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(11)ハマナス1(13)ハマナス2)に書かれています。

簡単に、まとめると、アイヌの人々にとって、ハマナス(アイヌ語でマウニ)は、特に果実が大事です。ビタミンCが豊富で食糧の1つになっていました。貯蔵しておいて保存食として、厳しい冬の食糧の1つなりました(乾燥させて蓄えていました)。

また、”熊送り”の時の「ハマナス粥(かゆ)」に使用され、神の国に帰る熊の魂を喜ばせていました。

また、木の幹は、削ってお茶にしたり、温湿布にしていました。 根は、腎臓病に効果あったり、イレズミの消毒にもなっていたそうです。

ハマナスの実(果実)、幹、根、いずれもアイヌの人々の役に立ってきました。さらに、トゲも魔除けとして、重宝されました。

では、花は?

残念ながら、あまり関心がもたれなかったようです(涙)(エゾヤマザクラのお花も残念でした、らしいです(大涙))

でも、アイヌの女性たちの中には、髪飾りにしてみたりしたかもしれません(あくまで想像)。アイヌの女性をモデルにした木彫りでは、ハマナスのお花は、一番よく見られます。

では、ハマナスの壁掛け類の写真です。

ハマナスの壁掛け(シナノキとセンノキ)
ハマナスの状差し(大)

ハマナスのピリカメノコ(アイヌの女性)1
ハマナスのピリカメノコ 2 (川上哲作)

ハマナスは、バラ科ですので、花が大きくきれいですね。髪飾りには、ちょうど良く、絵になりますね。ピリカメノコの2のレリーフは、川上哲(さとる)さんの代表作です。なかなか渋くていいですね。

では、実際のハマナスのお花の写真です。

ハマナスのお花1(阿寒湖畔)
ハマナスのお花2(阿寒湖畔)

アイヌ文化とスズラン

北海道の木彫りの民芸品では、お花と言えば、ハマナスの次はスズランです。

ピリカメノコ(アイヌの女性)のレリーフでは、少しだけですけど、スズランのメノコのレリーフがあります(残念ながら、今回はスズランメノコのレリーフの写真はありません。ごめんなさい)。

では、アイヌ文化ではスズランは、どのように扱われていたのでしょうか?

スズランは、アイヌ語でセタプクサチロンヌプキナと呼ばれていました。セタプクサとは、犬のギョウジャニンニクという意味です。チロンヌプキナとは、キツネの草、の意味です。

スズランは、北海道を代表するお花の1つなのですが、実は、アイヌの人々からはさげすみの言葉で呼ばれることになってしまってます。

なぜか?

スズランは、食べられない!薬にもならない!

これに尽きるようです。アイヌの人々にとって、ものすごい食糧源になっているギョウジャニンニクの葉っぱに似ていながら全然食べられない(涙)。

先ほどのハマナスは、お花は役に立たなかったけれど、実や幹や根、トゲなどがアイヌの人々にとって、最高の樹木の1つになっていました。

残念ながら、スズランは、お花、葉っぱ、根ともに不合格でした。

逆に、有毒だったりします。

スズランの球根は、お花屋さんだけではなく、昔は、民芸品店でも販売されていました。今ではなかなか見かけることはなくなりましたが。

そう言えば、阿寒町の町花は、スズランですが、なんでだろう?群生地でもあったのかなぁ?今度調べてみます。

残念ながら、北海道を代表するお花の1つ、スズラン(ユリ科)は、アイヌ文化では、重宝されてはいませんでした。

では、最後にスズランのお花の木彫りのレリーフです。

スズラン壁掛け
スズランの状差し

アイヌ文化とクロユリ(黒百合)のお花

クロユリは、アイヌ語で、アンラコルです(黒いー葉(はなびら)-もつ)。

クロユリもハマナス、スズラン同様、北海道を代表する花ですね。

では、アイヌ文化での評価はどうだったのでしょうか。

まず、食べられるか食べられないか。やったー!クロユリは、食べられます。花ではなく、鱗茎の部分を洗って貯蔵しておき、ご飯などと一緒に炊き込まれていたらしいです。

松浦武四郎の「石狩日誌」によると、携行食にとアイヌの人々からいただいたそうです。おそらく、クロユリの鱗茎に糸を通し、数珠のようにつなぎ干して置いていたものらしいです。

また、食以外では、クロユリの花びらをつぶして黒の染料にしていたらしいです。

クロユリは、スズランよりは使い道があったようですね。よかった、よかった。

少しマイナスな?イメージとしては、クロユリは、子供がいない孤独な女性をいうらしいです。クロユリは枝がなくて、一本きりだからだそうです。「あの女はアンラコルだ」なんていう言葉もアイヌ研究者などは聞いた事があるそうです。


では、民芸品におけるクロユリはどうなのでしょうか。

結論から言うと、あまり題材として使われていません。っていっても全くないわけではありません。一番よく使用される題材は、ハマナスで、スズラン、クロユリと続きます。

アイヌの女性の壁掛けでクロユリと一緒に彫られている作品は何度か見かけたことがあります。今回は、紹介できないですけど、見つけ次第載せていきたいと思っています。

それでは、クロユリの単体での壁掛けの写真です。

クロユリの壁掛け

これらは、クロユリの壁掛けで一番有名な作品です。もう作ってはいないらしいですね。残念ですね。

以上、今回は、アイヌ文化におけるお花(民芸品でよく見かけるお花に絞って)をみてきました。まとめると、アイヌ文化では、花は、そんなに役立つものではなく、また観賞して心を和ませるものではなく、使い道がなかったものが多い。
花よりも実生活に役立つ果実や鱗茎や根などが重宝された。

北海道で有名な花では、ハマナスは大いに有用で大事にされ、スズランは全く相手にされず、クロユリは少しだけ役に立っていた。

現在、お花を愛でるということは、一概には言えないですけど、それだけ食べるものが豊かになったから、かもしれないですね。まぁ、自分の場合は、少し意味は違いますが、いつでも、花より団子!かな(笑)


それでは、最後までお付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました。これからも『樹木愛』、『木彫り愛』でよろしくお願いいたします。お元気で!

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