51. 木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(16)シナノキ(アカジナ)① 抜群!

シナノキの黄葉(2021年9月、阿寒湖畔)アイヌ文化
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みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。


10月に入りました。緊急事態宣言が解除になり、これから少しでも、人々が明るく暮らせるようになればいいなぁ~、と思っています。
阿寒湖では、コロナ禍で、観光のお客様が激減していましたが、どんどん増えていくことを願うばかりですね。


先日、少し遠くを眺めたくて、牧場・草原の風景を見てきました。牛や馬はいませんでしたけど。

目の疲れやいろいろ精神状態に良さそうですね。

釧路に行く途中の草原(2021年9月末)

気持ちいいですね!


それでは、今回は、木彫りの熊」の材料で、一番使用されているシナノキについて、簡単にみていきたいと思います。

もっと早くとりあげたかったのですが、阿寒湖畔で、シナノキまたはオオバボダイジュがなかなか見つけられず、延び延びになっていました。


ちなみに、シナノキ=アカジナ

オオバボダイジュ=アオジナ


というように一般的には言われています。両方ともシナノキ科です。

主にアカジナのシナノキについて、写真を載せながら見ていきましょう!


みなさんに少しでも外に出ていただいて、自然の樹木や花にふれ合い、散歩しながら大空を見上げ、日頃のストレスを軽減していただければ、とてもうれしいです。

それでは、『樹木愛』の心で、リラックスしていきましょう!

よろしくお願いします。

目次

シナノキの基本情報

・高さ15~20m、太さ60~80cm

・落葉広葉樹

・葉っぱは、スペード形、長さ4~10cm、幅4~8cm
ふちに鋭いギザギザ。基部(葉っぱの下の付け根)は、ゆがんだ心形
葉っぱの表、裏は、無毛


・花の蜜は、ハチミツになります。


・名木 ピンネシリの千本シナ(中頓別町)推定樹齢120~220年。直径29~63cm。幹周92~197cm。樹高19m。

    優駿のシナ(平取町)推定樹齢200年以上。直径129cm。幹周405cm。樹高9m。


・市町村の木 シナノキは、ありません。オオバボダイジュは、佐呂間町の木。

それでは、シナノキとオオバボダイジュの葉っぱの写真です。

シナノキの葉っぱ(2021年9月)
オオバボダイジュの葉っぱ(2021年9月)

写真でみるとわかりづらいのですが、実際、葉っぱの大きさがだいぶ違いました。オオバボダイジュ(アオジナ)の方が、大きいです。あと、見分け方は、葉っぱの裏の毛がたくさん生えているほうが、オオバボダイジュですね。シナノキは、無毛

葉っぱの形が、スペード形というのは、シナノキの特徴の1つですね。でも、似ている葉っぱは、たくさんあるんだよなぁ~、これが。難しいですね。観察、観察、観察!

シナノキの名前の由来

シナノキの名前の由来は、2つくらいあるようです。


1、樹皮がしなしなしているから。白いから。

2、アイヌ語で、結ぶ、縛るの意味をもつ「シナ」から。


1、の樹皮がしなしなしているからは、そのまんまですね。おもしろいですね。

2、のアイヌ語からの「シナ」は、実際、アイヌの人々は、シナノキから縄などを作っていました。生活の中から生まれた名前になりますね。

アイヌの人々とシナノキ

アイヌ語では、シナノキは、ニペシニ(木・もぎとった裂片・木)、(内皮・それからとった繊維)。

または、シナノキは、シニペシ本当のニペシ)。

オオバボダイジュは、ヤイニペシただのニペシ)。


アイヌ文化では、シナノキの方が、大切だったみたいですね。

アイヌの人々の生活の中では、シナノキの場合は、樹皮がとても重要で、大切でした。

内皮からとった繊維は丈夫で、荷縄にしたり、袋物を編んだりしていました(サラニプ)。オオバボダイジュより質が良かったらしいです。

そのシナノキの繊維は、細い縄にして、魚をとる網にしたり、家の屋根を葺くササなどを編みこんで縛ったりと、たくさんの用途がありました。 


樹皮を剥ぐ(はぐ)のは、シナノキの水分が一番多い5,6月の時期が適していたようです。その木の太さは、5cmくらいの若木が最適だったそうです。

その樹皮の剥ぎ方ですが、シナノキの場合は、上から下に剥ぎます。有名なオヒョウの木の場合は、下から上に剥ぎます。


アイヌの人々の暮らしの中では、オヒョウの木同様、シナノキでも糸を作り着物を編んだのでした。
また、シナノキは、日常使用するロープなどの実用品の原材料でした。

アイヌの狩人は、狩りに行くときの脚絆(きゃはん。脛(すね)の部分に巻く布)に使用したりしていました。


このようにシナノキは、アイヌの人々にとってなくてはならないものといえるでしょう。


内皮の大切さばかり強調しましたが、木材の方も役に立っていました。

内浦湾の長万部(おしゃまんべ)では、カジキマグロ漁の時の舟は、シナノキで作ったそうです。
カジキマグロの鋭い吻(ふん。角というか骨というか)で、舟をつつかれた時に、シナノキの舟は割れないそうです。シナノキは、堅い木ではないので、そのやわらかさでカジキマグロの吻(角、骨)を吸収してしまうのですね。

舟の材料と聞くと、カツラセンノキヤチダモなどを想像しますが、カジキマグロ漁の時は、シナノキなんですね!


それでは、シナノキの幹の写真をどうぞ!

シナノキ(アカジナ)の幹(阿寒湖畔)
オオバボダイジュ(アオジナ)の幹(阿寒湖畔)

以上、簡単ですが、シナノキをみてきました。


雑学ですが、世界4大並木をご存知でしょうか?

自分はまったく知りませんでした。その4大並木の1つにシナノキが入っているそうです。

シナノキは、英語で、ジャパニーズ・リンデンと言うらしいですが、リンデンと聞くと、よく外国の小説などで街路樹としてでてきますね。なるほど!


{世界の4大並木}

・シナノキ

・トチノキ(セイヨウトチノキ)

・ニレ(ニレ類)

・モミジバスズカケノキ(プラタナス)


シナノキ並木の下を歩いてみたいですね!


それでは、今回は、これでおしまいにします。
次回は、シナノキを使用した(着色していない)「木彫りの熊」をとりあげてみたいと思っています。

最後まで、お付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!

お元気で!

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