木霊・・・こだま。樹木に宿る精霊。木の精。精霊は山中を敏捷に自在に駆け回るとされる。木霊は外見はごく普通の樹木であるが、切り倒そうとすると祟られるか神通力に似た不思議な力を有するとされる(ウィキペディァ)。
~(アイヌの人々は)かつて人間がとりまくすべてのものに、人間と同じような精神の働きを見、それをカムイと呼んで、人間とカムイの共存こそがこの世を豊かに暮らす道であると考えていた~(中川裕 千葉大学文学部教授「ゴールデンカムイ」アイヌ語監修者)
みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
5月12日頃から、近所のエゾヤマザクラのつぼみが、少しずつ開いてきました。阿寒湖に桜前線が本格的に到達しました。これから、楽しみですね!
先日、相生の道の駅に行きました(相生は、阿寒湖から車で20分くらい)。その時のエゾヤマザクラの写真です。名物・クマヤキも忘れずに。
相生の道の駅の名物・クマヤキ。おいしいですよ~。自動販売機がクマヤキ柄になっているのがまた、おもしろいですね。
いろいろな味がありますよ!自分は、やっぱ、ノーマルな餡子が好きですね!
ぜひ、食べてみてくださいね!
それでは、今回は、みなさんもよくご存知の「ナナカマド」を簡単に紹介していきます。
この記事を読んで、みなさんに、少しでも外に出ていただいて、散歩しながら、花や樹木を観察し、日頃の悩みやストレスを軽減していただければ、とてもうれしいです。
大空を見上げて、宇宙を感じてくださいね!
では、『樹木愛』をもって、リラックスしてみていきましょう!
目次
ナナカマドの特徴
北海道では、有名なナナカマド。街路樹でよく見かけますね。旭川市や苫小牧市など34の市町村が「市町村の木」として指定してます。人気があります。ほんと身近な樹木ですね。バラ科。
名前の由来は、諸説あるようです。
ナナカマドは、漢字では「七竃」と書きます。
「7回竃に入れても燃えない」とか、「生木から炭を作るには7度焼かなければならない」とか「この材で作った食器は七世代も使えるほど強い」とかいろいろ説があります。
実際、ナナカマドはそれほど燃えない木ではなく、備長炭の極上品は、材質の堅いナナカマドが知られているそうです。
有力な説は、「炭を焼くには7日間ほど、かまどでじっくり炭化させるとナナカマドを原木とした極上品の堅い炭ができることから、七日竃(なのかかまど)が変化してナナカマドになった」という説だそうです。
花言葉は、「怠りない心」、「安全」、「慎重」、「用心」。メインストリートの街路樹には、交通事故の防止の願いが込められているそうです。安全運転!
ナナカマドが、人気がある理由は、”季節感がある木”だからでしょうか。春夏秋冬、いろいろな表情を見せてくれます。後ほど、写真を掲載します。
葉っぱは、奇数羽状複葉で、オニグルミなどのように葉は大きくなく、こじんまりしています。小葉は、9~15枚でふちに鋭いギザギザがあります。互生。
自分は、たまにエゾヤマザクラの幹と間違えてしまう時があるのですが、幹はおおむね平滑で、皮目(ひもく)が目立ちます。
花は、白色です。目立ちます。きれいです。6月上旬から咲き始めます(阿寒湖では、6月後半以降)。
果実は、赤い実です。これもわかりやすいです。目立ちます。
初冬は特に、雪の白さと実の赤さ、の鮮やかに目を奪われます。美しいです。食べたりはしないそうです。
ヨーロッパ(ヨーロッパナナカマド)やアメリカ(アメリカナナカマド)は、ジャムやお酒にしているらしいです。
アイヌ文化では、ナナカマドの実は、エゾニワトコの実と同様、「チカピペ」と呼ばれ、「カラスの実」の意味で、食用ではなく子供が投げたりして遊ぶものだった、などの記録もあります。
ナナカマドの材木の一般的用途は、材質が堅硬(かたき・けんこう)で木理(もくり・木目と同じ)が緻密ですので、ハンマーや工具の柄(もつ所、つかむ棒)やカンナ台など。
木彫りの材料では、使用されたのをあまり見たことがないですね。何でだろう?宿題ですね。
ナナカマドは、樹木としては、超有名ですよね。よく見かける樹木で、私たちの目を楽しませてくれています。
でも、材木としては、どのように使用されているのか(加工品)、いまいちよくわからないですよね。これから、そいういうところにも注目してみていきたいと思っております。
アイヌ文化とナナカマド
ナナカマドは、アイヌ語では、「イワキキンニ」と言うそうです。「キキンニ」だけでも通じるらしいのですけど、エゾノウワミザクラ(キキンニ)と区別したいときには、「イワ(やまの)」を前につけるそうです。
意味は、山地・魔人を追い払う=棒幣・になる・木、です。
アイヌ文化での用途は、「魔除け」と「薬用」です。
病気などがはやった時に、ナナカマドの祭壇(キキンニ ヌサ)を作って、悪い病気が入らないように拝んだそうです。
知里辞典では、「エゾノウワミザクラと同様に、その特有の臭気のゆえに除魔力を認められ、魔除けの呪法(じゅほう)に、病魔の撃退に、広く用いられた。」とあります。
「木霊の楽園!北海道!樹木をみよう(4)のイヌエンジュ」と同じですね。臭気が悪い魔を追い払う!。
薬としてのナナカマド。
風邪で熱が出たときなど、ナナカマドの皮や枝をお粥(おかゆ)にして食べると熱が下がったそうです。お茶にして飲んだりもしたそうです。
また、二日酔いにも効いたらしく、皮や枝をやはりお粥に入れて食べたり、お茶にして飲んだりしたそうです。
その他にも、眼病の時に、(ナナカマドの)皮付きのまま薄く長く削って水に浸し、その水で眼を洗った、など。
生活道具としては、ナナカマドの幹は堅く、キメが細かいので、山杖(やまづえ)、カンジキ、槌(つち)の柄、炉せん(火鉢の灰ならしのこと)に使用されました。
*槌(つち)とは、物を打ち付けたり、潰したりする工具の総称。
また、アイヌの人々は、冬の猟で暖をとる時、雪の上で焚き火をすると火が落ちるので、ナナカマドを敷きつめて、暖をとったそうです(ロストルの役割)。
知らなかったのですが、堅くて丈夫なナナカマドは、食器としても使用されていたようです。最近では、民芸品の食器は、エンジュが使われることが多く、ナナカマドはほとんど見かけません。ナナカマドの食器を探してみたいと思っています。
アイヌ文化においてのナナカマド
・魔除け
・薬(熱さまし・二日酔い・眼の病気)
・カンジキや杖、炉せん、食器などの生活用具
・冬猟の焚き火をする時の敷物(ロストル)
ナナカマドの四季の写真
春、長い冬からの芽吹き
夏、葉っぱが少しずつ成長し、白い花をつけます。
秋になりますと、紅葉のすばらしさと実のかわいらしさが目立ちます。
冬、白い雪とナナカマドの赤い実。ロマンチック。本格的な冬の入り口。
ナナカマドは、私たちの身近にあります。四季それぞれ楽しませてくれます。毎年、写真などを撮って、記録するものいいかもしれませんね。
以上で、簡単ですけれど、ナナカマドについてみてきました。
少しでも、時間と体力がありましたら、近所の樹木や花を観察してみてくださいね。
それでは、みなさん、『樹木愛』の心をもって、また、お会いしましょう!
最後まで、お付き合いしていただきまして、ありがとうございました!
お元気で!
(参考資料)
・アイヌと自然シリーズ第3集 アイヌと植物 樹木編(財団法人アイヌ民族博物館)
・アイヌと自然シリーズ第4集 アイヌと植物 薬用編(財団法人アイヌ民族博物館)
・アイヌ文化・草と木樹 郷土学習シリーズ第9集(斜里町立知床博物館)
・コタン生物記 樹木雑草編(更級源蔵、更級光 青土社)
・知りたい北海道の木100(佐藤孝夫 亜璃西社)
・新版北海道の樹(辻井達、梅沢俊、佐藤孝夫 北海道大学図書刊行会)
・アイヌ植物誌(福岡イト子著、佐藤寿子挿画 草風館)
・アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」(中川裕著 集英社新書)
・木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(7)阿寒湖の桜
・木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(4)イヌエンジュ 阿寒湖編
・木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(9)イヌエンジュ(その2) 芽吹き
・木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(12)イヌエンジュ(その3) お花
・木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(18)イヌエンジュ(その4) 四季
・アイヌ文化とエンジュ(イヌエンジュ)
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