6.「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方 基本編6 イチイ材・センノキ・クルミの熊

立ち熊白木1木彫り

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるで~す。

今年(2021年)の春は、阿寒湖畔は例年にくらべて暖かい日が多く、雪どけが早く
すごく快適ですよ~!(まだこれからどうなるかわからないけど!?5月末まで雪が降る地域なんで・・・)

それでは始めま~す。
今回は、前回の続きです。
イチイ・センノキ・クルミの木を使用した「木彫りの熊」について見ていきたいと思います。

この3種類の材料の木彫りの熊は、前回のエンジュ埋もれ木(神代)を使用した「木彫りの熊」ほど数が多くないので、民芸店に置いてない場合もあります。特に、イチイ材の熊は少ないですね。

ですので、一応、”あぁ~、こんなのもあるんだなぁ~”って、軽い気持ちで読んでくださいね。

今回の記事を読むと、
「木彫りの熊」の見方が40%わかります。
(ただし、これまでの記事パート1~5も読んでいただいて、です)

「木彫りの熊」はさすがに奥が深い!?

ぜひとも『木彫り愛』の心をお持ちになって、温かい目で、そして忍耐強くかつ明るくいきましょう!

では、よろしくお願いします。

目次

イチイの木の「木彫りの熊」

イチイは、漢字で書くと「一位」ですが、これで木の名前です。

樹木の中で、”1番”、”1等賞”、のような意味はなく
、あくまで木の名前です。
名前の由来については、また後ほど紹介していきたいと思います。

北海道の人は、イチイのことを「オンコ」と言う人が多く、お年寄りの方などは、「オンコ」のほうが通じやすいです(オンコとは、方言のひとつらしいです)。

このイチイは、エンジュ同様、成長が遅く、あまり太い材料がありません。
太い木(直径70cm以上)になると『神木』扱いされ、伐採されず、保護の対象になったりしています。実際、北海道の市町村の木として、たくさん指定されています。

「木彫りの熊」を彫るには、ある程度の材料の太さが必要となります。
イチイは、成長が遅く、太い材料が少ないことにくわえて、硬く、作り手いわく、

“オンコは、節(ふし)が多くて、やりにくい(彫りづらい)し、細い割れ(ひび)が入って扱いにくい”、と。

通好み(つうごのみ・マニア向け)だわなぁ”、と。

要するに、イチイの作品には、ある程度の節、ひび割れは、仕方ない

そのことを知っていて、やさしい目で見てくれる方々が、””ということです。

まぁそれは、木彫り全般にいってもいいんでしょうけれど。

アイヌ文化でも、この木でなどを作っていたようです(アイヌと樹木の関わりついては、また後ほど)。

アイヌ語では、イチイの木のことをラルマニ(クネニ)といいます。

前置きが長くなってしまいました。では、写真を見ていきましょう!

イチイの木の吠え熊1
イチイの木の立ち熊1

透明な塗料を塗っていますが、これが「一位」の木の色です。
オレンジ色。赤茶色
吠え熊は、難しい彫りですね。
最近では、「イチイ」の熊は見かけなくなりましたね。


イチイの木の「立ち熊」です。
イチイは、外側の「形成層」(樹皮近く)が、黄色です
前回のエンジュもそうでしたね。
イチイは、オレンジ色~赤茶色
エンジュは、茶色~こげ茶色
この「立ち熊」は、1本ですべて作られています。しかも吠えてます。難しいですね。手間ひまかかりますね。


「一位の木の熊」は、今では珍しい。熊以外でも(立体物であれば)珍しいので、チャンスがあれば、じっくり見てみよう!

硬くて、「節(ふし)」が多く、細い割れ、ひびが入ることもあるので、どちらかと言えば、“通好み、マニア向け”

高級材。神木扱いされることもある

木彫り屋の方々は、イチイ好きが多い、と勝手に思っている(まさまる)

木彫りの熊(14)~イチイ(オンコ)①
木彫りの熊(15)~イチイ(オンコ)②
樹木をみよう~(2)イチイ、津別町21世紀の森

センノキの「木彫りの熊」

センノキは、漢字では「栓の木」です。別名は、「ハリギリ」。ウコギ科。

おいしい山菜で有名な「タラノキ」(タランボ)と同じ仲間です。
センノキの葉っぱ(若葉)も天ぷらにして食べれるらしいです。自分は、食べたことがありませんけれどね。

センノキは、アイヌ文化で狂いが少ない木、としてよく使用されたようです(臼や杵など諸々)

センノキの木彫りでのイメージは、”木目の整った安定の木”。

色は、白色木目がしっかり出ている。

センノキには、糠栓(ぬかせん)鬼栓(おにせん)があり、今、述べているのは、糠栓のほうの特徴です(鬼栓は、堅く、木目が整っていない傾向があります)。

同じ白色のシナノキよりも木目が目立ち、さらっとした手触り(主観です)。

シナノキよりも若干硬い。エンジュほどではない。

あまり着色はしない。

素のままの作品が圧倒的に多い。

レリーフ(壁掛け)の作品が多い

それでは、「センノキの木彫りの熊」を写真で見ていきましょう!

センノキの木彫りの熊1

センノキの「鮭持ち(鮭おさえ)吠え熊」です。
木目がきれいですね。整った木目
この熊は、木目をみせる「つるつる」タイプです。
毛並みを表現する「毛彫り」タイプや
「カット彫り」タイプもある。
色塗りは、少ない

センノキの木の親子熊1

センノキの「親子熊」
カット彫り」ですね。
木目はしっかり出ています。

センノキの「木彫りの熊」は、シナノキのように多くはない

着色は、あまりしない。

白い熊だったら、シナノキかセンノキと思っていい(例外はあります)。

木目(細かい整った木目)がはっきり出るときが多い

樹木をみよう~(5)ハリギリ(センノキ)阿寒湖編

クルミの「木彫りの熊」

最近、クルミの材料の作品をあまり見なくなりました。
もちろん、全くないわけではないのですが、少ないような気がします。
この辺、また後ほど調べてみたいと思います。

クルミの特徴は、なんといっても、”手触りがいい”、”やさしさを感じられる”。

硬さは、それほど硬くないが、シナノキよりは硬い。

センノキと同様に”狂いが少ない”、”安定感”がある

色合いは、うすい桃色からベージュ。黄土色

クルミの木は、家具にもよく使用されています。

アイヌ語では、ネシコ(樹木編でまた紹介します)。

自分が尊敬する故・藤戸竹喜さんの作品では、クルミが多かった気がします。

それでは1点ですが、写真を見てみましょう!

クルミ親子熊とフクロウ

シマフクロウがいますが、メインは熊です。
なでるだけで、ツヤが出てくるようなやさしい手触りです。
親子熊の表情が、いいですね。

クルミの作品は、実際、手にとってみて、手触りを楽しんでくださいね。

着色は、ほとんどしない。

色合いは、うすい桃色~ベージュ・黄土色

「毛彫り」、「カット彫り」、「つるつる」、毛並みの彫り方はいろいろある。

木目は、整っている。強烈には(センノキほど)木目は目立たない

アイヌ文化とオニグルミ

以上で、2回にわたり、シナノキ以外の「木彫りの熊」を材料をみてきました。
シナノキ以外の材料とは、次の材料です。

エンジュ埋もれ木イチイセンノキクルミですね。

説明し足りないことがたくさんありますが、また「木彫り」に関することを話題にする時に、その都度、付け加えていきたいと思ってします。

では、どの木で彫った「木彫りの熊」が一番価格が高いのか?

とても気になるところですよね。

これは正直言うとホント難しいです。

「木彫りの熊」は、やはり「彫り」と「表現力」が命です

その大前提があって、しかも「四つん這いで鮭をくわえている熊」(鮭喰い熊)の形で、ある程度の大きさの作品であるならば、時期にもよるのですが、

埋もれ木>イチイ>エンジュ>クルミ>センノキ>シナノキ


う~ん、やっぱ難しい。
それともこうですかね。

埋もれ木・イチイ>エンジュ・クルミ>センノキ>シナノキ


埋もれ木とイチイとエンジュは常に上位に入るのではないでしょうか。

次回は、パート1で書きました「木彫りの熊」の形、10種類を2回に分けて、主に、写真を載せながら解説していきます。

ホント説明すればするほど、私自身も、もっともっと学んでいかなければと、つくづく身にしみて、痛烈に思います。

みなさんも、少しずつでもいいですので、『木彫り愛』の心で、木彫りの作品に接していただければ、本当にうれしいです。

最後まで読んでくださって本当にありがとうございました!
また、次回にお会いしましょう!ごきげんよう!

「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方
基本編1 鮭をくわえた四つん這いの熊(シナノキ)
基本編2 後ろ側の彫り方(肩やおしり)
基本編3 塗装などの仕上げ方について(シナノキ)
基本編4 彫り方いろいろ
基本編5 エンジュ材・埋もれ木(神代木)の熊
基本編7 覚えておきたい熊の形10種類 前半(1~5)
基本編8 覚えておきたい熊の形10種類 後半(6~10)形が複雑に
基本編9 表情熊について
基本編10 形のユニークな熊

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