みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
今回は、埋もれ木(うもれぎ)・神代木(じんだいぼく)のフクロウを、写真を中心に見ていきたいと思います。
まず、埋もれ木(神代木)とは、何か?
埋もれ木とは、何千年前の大昔、地殻変動や洪水などが原因で、地中深く埋まった樹木が、近年の道路や河川、湖、ダム工事などで、地中から掘り出されたものをいいます。腐敗せずに、その樹木の性質を残しながら甦り、とても希少で貴重です。
北海道では、ニレ、タモ、クルミ、セン、スギなど。
大地により染められた天然の、深く、渋みのある色合いは、悠久の時を経て、地上に這い上がってきたその樹木たちの事跡に、思いを馳せるでしょう。
北海道の木彫りの民芸店に行かれると、木の材質では、シナノキ、エンジュ、埋もれ木(神代)、イチイ、セン、クルミなどを耳にします。
特に、シナノキ、エンジュ、埋もれ木(神代)、イチイは、よく聞くと思います。
本州の人には、これらはあまり馴染みがない樹木かもしれません(実際は、本州にもこれらの樹木はあります)。
松やスギ、ケヤキ、桑などのほうが、本州では、ピン!っときますね。
よくある質問で、「何の木が、一番いいんかいな~?」、「どの材質が、優れていますか?」という質問があります。
実は、この質問、簡単そうで難しい!その樹木がもつ適材適所ってものがありますから、なかなか一言ではいえません(宿題ですね)。
今回は、一般的な見解を述べておきます。
順番は、良い順に、埋もれ木・イチイ・エンジュ・センノキ・シナノキ、、、、。
それとも、(埋もれ木・イチイ・エンジュ)はどれも甲乙つけがたく、次にセンノキ、シナノキ、、、。
木彫りファンの方ならご存知の藤戸竹喜さんは、埋れ木で狼を彫ることの、ちょっとしたこだわりを語っています。
~埋れ木って知ってるか?北海道で、土の中に何百年も埋まっていた木。これは堅い。楡やタモが多いか。土の中だから何百年も風化しない。終いにはそのまま石になってしまうような堅い木だ。~埋れ木は、今でも太いのが結構出るけど、当たり外れが大きいな。土の色がついて灰色になってる。この埋れ木の灰色のおかげで、狼が彫れるようになったと思ってるよ。今はいなくなってしまった狼を、狼が暮らしていた時代の木で彫っている。~
(熊を彫る人 小学館)
前置きが長くなりましたが、早速いきましょう!
それでは、みなさん、『木彫り愛』、『樹木愛』の心で、リラックスして、気楽にお読みくださいね。
よろしくお願いします。
目次
埋もれ木(神代木)フクロウ1羽
1つめは、憲治さんの作品です。シマフクロウの゛キリリ”とした表情が特徴ですね。首をかしげてアクセントをつけています。本体と台座が分かれるタイプです。
2つめは、藤原さんの作品です。枝のりです。このデザインは、藤原さんの定番ですね。ころころお目めのかわいいぽっちゃりフクロウですね。おなかの木目がとてもいいですね。
3つめは、川上哲(さとる)作です。川上さんの作品は、これまで何度か紹介しましたが、埋もれ木でも彫っております。やっぱりフクロウの木彫りは、作家さんの特徴が、はっきり出ますよね~。おもしろいなぁ~!
4つめは、岩間さんの作品です。「がんま」で有名な作家さんです。特に、゛がんまのコロポックル”は、一世風靡しました。現在は、父・次雄さんと息子さんの幹雄さん二人で彫られているそうです。
こちらのフクロウも(コロポックルの時と同様)なかなか味わいがありますね。個性的です。かわいい系の好きな方におすすめですね。本体と台が分かれるタイプです。
埋もれ木(神代木)フクロウ2羽
フクロウの1羽より、彫る手間のかかる2羽の作品です。
5,6つめは、高瀬さんの作品です。有名な作家さんです。
横並びとななめ上下の作品です。バランス・技術は、ななめ上下の方が、難しいとされています。
2つの作品とも、木目がとても目立っていて、゛これぞ、木彫り~”って感じですね。いいですね~!
7つめは、1羽のところでも登場しました憲治さんの2羽シマフクロウの作品です。
台座は、分かれるタイプですが、2羽は、横に1本彫りです。2羽がお互いを方を向いているのが、また、いいですね!
胸からおなかにかけての彫りも迫力がありますね。
8つめは、旭峰さんの作品です。この道、約50年のベテラン作家さんです。
台座と分かれるタイプです。
それぞれのフクロウの木目をご覧くださいませ!
素材を生かした作品の醍醐味ですね!素晴らしい!
埋もれ木(神代木)3羽
3羽タイプは、そんなに数が多くはありません。今回は、1つだけ、見てみましょう!
9つめは、旭峰作の3羽シマフクロウです。埋もれ木の3羽は、数が少ないですね。
サイズは、そんなに大きくはありません。その中で、3羽彫るのは、細かい作業になりますね。彫りづらいですね。
埋もれ木は、全体的に、木目がはっきりしているものが多いですね。この作品の木目は、見事ですね!
以上、写真を中心に、埋もれ木のフクロウを見てきました。
埋もれ木の材料は、当たりはずれがあるそうです。ある作家さんが言っていたのですが、
「丸太1本、埋もれ木を調達しても、木彫りに使用できるところが、半分もない時がある」、「ひどい時には、三分の一しか使えない」。
もともと、地中に埋まっていた材料ですので、その木が堅いといっても、外は良くても内側がダメだったりするらしいです。
材料選びも埋もれ木の場合は、難しいようですね。
こうして今回、埋もれ木フクロウの写真を掲載してきたのですが、写真で見ると、(自分がこれまで思ってた以上に)埋もれ木の作品の木目がとても美しいのに、気づかされました。新鮮な気持ちです。木目の良さをもっと強調してもいいのかもしれませんね。
それでは、みなさん、最後までお付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!
お元気で!
(参考資料)
・熊を彫る人 (写真・在本彌生 文・村岡俊也 小学館)
「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方 基本編5 エンジュ材・埋もれ木(神代木)の熊
木彫りのフクロウの見方 1 台座の彫り方
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