76. 川上哲(さとる)さんの作品3(木彫りのフクロウ⑩)~銘木で彫られた守り神

エゾノバッコヤナギアイヌ文化

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。

春は三寒四温といいますが、本当にそうですね。雪は順調に大地に吸収されています。
阿寒湖では、4月21日から阿寒湖の氷を割る砕氷船が運行予定です。去年は、暖かすぎて、あっという間に氷がなくなってしまい、砕氷船の活躍は3日くらいで終わってしまいました(泣)。さぁ今年はどうでしょうか。それでは、今の阿寒湖の写真です。

4月中旬の阿寒湖と阿寒湖畔遊歩道(トーラサンペ・ル・ミナ)

阿寒湖畔の遊歩道(トーラサンペ・ル・ミナ)は、土が見えていますが、両側の雪の壁は、まだ高いですね。この雪の壁の遊歩道はなかなか体験できないですよね。ぬかるみが多いです。でも楽しかったりします。
阿寒湖は、湖水が少し見えますが、まだまだ凍っています。静寂。あと一週間くらいで、ゆっくりと、すべてのものが動き出すワクワク感と緊張感。

先日、久しぶりに用事で外出しました。景色はまだ白や灰色、こげ茶。斜面には、フキノトウがぽつぽつ。うれしかったです。
春の訪れを知らせる福寿草やカタクリエゾエンゴサク、見たいなぁ~!
インスタグラムでフォローしている方が、カタクリと福寿草を載せてくれていました。感謝です!花を見るとホッとしますね。
カタクリは、何だかロマンチックな花で、スプリング・エフェメラル(春・はかなきもの)と呼ばれるそうです。エゾエンゴサクなどもそうらしいのですが、4~5月のまだ(広葉樹などの)葉っぱがない明るい林の中で、(カタクリは)一斉に花を開き、すぐに地下の鱗茎に養分を蓄えるそうです。花はアッという間で、葉っぱも夏になると枯らしてしまうそうです。それで消えたように見えるので(本当は地下で生き続けているらしい)、スプリング・エフェメラル(春・はかなきもの)というらしいですね。

ちなみにアイヌ文化では、カタクリは、大事なでんぷん質の食べ物だったらしいです。アイヌの人々は、お花には興味がなかったらしいです(サクラ、ハマナス、スズラン、クロユリのお花も同じでした)。そうですよね、生きていくうえで大切なのはまず、食糧ですから。カタクリの球根や根、葉っぱを煮たり(臼で)搗いたりして、でんぷん粥やでんぷんかきにして食べていたそうです。

前置きが長くなってしまいました。すみません。
では、早速ですが、今回は、前回に引き続き、川上哲(さとる)さんの作品を見ていきましょう。
その作品は、シマフクロウです。アイヌ文化では、アイヌコタン(アイヌの人々の集落)の最高の守り神として崇められています(主に川や山を狩猟の対象としているコタン)。
それでは、『木彫り愛』の心で、リラックスして、お読みくださいね。よろしくお願いします。

目次

川上哲(さとる)作 エンジュ材で彫られたシマフクロウ

川上さんの作品の中では、レリーフは、センノキクルミ。フクロウでは、エンジュや埋もれ木(神代木)を材料にすることが多かったかもしれません。全体的には、センノキが一番多かった気がします。時折、(哲さんは)ずんぐりむっくりの熊を製作していましたが、あれは、何の木だったのか?シナノキ?哲さんの熊の作品に接する機会に恵まれましたら、しっかりチェックしてみたいと思っています。

それでは、エンジュ材で彫られたシマフクロウの作品です。

川上哲作 シマフクロウ(エンジュ材) 1
1の写真のアップ

哲さんのシマフクロウは、(前回のレリーフ同様)個性・特徴がありますよね。

彫りはシンプルです(丸のみ中心)。

木彫りのフクロウの見方シリーズで述べていたことですが、作家によって、フクロウの表情が全然違うので、まずは好みで選ばれればいいですよ~、と。絵画と同じように。写実的にとらえる作家もいれば、(フクロウの)一瞬の表情や動き、またユニークなとらえ方をする作家もいます。ずっと眺めていると、これは同じシマフクロウを題材としたものなのか?と
疑ってしまう時もあります(笑)!?感じ方は、見る人それぞれで良いと思います。
では、次の作品です。

川上哲作 シマフクロウ枝のり(エンジュ材) 2
川上哲作 シマフクロウ夫婦(エンジュ材) 3

3のアップ写真
川上哲作 シマフクロウ2羽レリーフ(エンジュ材)4

4のアップ写真

すべてエンジュ材です。エンジュ材は、木目が密なものが多く、重みがあり、堅いです(特に乾燥するととっても堅くなります)。重厚さが特徴の材料です。

哲さんの2羽のフクロウの表情はどうでしょうか。上にいるフクロウの威厳が半端なく、迫力満点ですね。おもしろいですね!

では、次に埋もれ木の作品を1つ、見てみましょう!

川上哲(さとる)作 埋もれ木で彫られたシマフクロウ

埋もれ木は、何千年前に地殻変動などで地中に埋もれた木材です。やわらかい木などは、腐ってしまいますし、例え堅い木であっても、諸条件がそろわないと、木彫りの材料としては不適切になってしまいます。当時の作家さんの言っていたことが思い出されます。


「(埋もれ木の)丸太一本買っても、それが全部、使えるって保障はないんだよ。ひどいときは、半分、(材料に)つかえないんだわ~」って。


いろいろと難しい材料なんですね。そりゃ~、(材料だけで)希少価値がでますよね。それでは、哲さんの定番のシマフクロウの形ですが、埋もれ木の作品を見てみましょう!

川上哲作 シマフクロウ(埋もれ木)

川上哲(さとる)作 ユニークな形のフクロウ

哲さんのフクロウは、どちらかというとリアル系ではなく、直感系とでもいいましょうか。少しのかわいらしさと威厳さを持ち合わせた、不思議で、何となく楽しいフクロウですね。

次に紹介する作品は、遊び心のある楽しい作品です。

川上哲作 エゾフクロウ2羽(エンジュ)1
1の写真のアップ

愉快な作品ですね。見ようによっては、「だるまさん?」が上と下に。何ともいえない表情ですよね。吹きだしに台詞をつけてみると、人それぞれで、楽しめるかもしれませんね。

川上哲さんの作品には、このような少し遊び心のある、思わず台詞などをつけたくなる、そんな人の喜ばせる魅力がありますね。

また機会がありましたら、哲さんの作品を紹介していきたいと思っています。

以上で、今回はおしましです。

最後までお付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました。これからも『木彫り愛』、『樹木愛』でよろしくお願いします。お元気で!

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