83. 木彫りの熊(18)~藤戸滝光さんの作品 迫力満点!この毛並みのゴツゴツ感、なんとも言えない!

アイヌ文化
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「~永い間あなたが追求していた、木の中にかくれていた生命の躍動が目をさましたといった感じでした。木も石も使方で薪になったり漬物石になるが、人間の愛情が加わると、こうも生命が花さくものかとおもいました、木喰や円空の山刀もあとを思い出されました。~」1975年5月25日 更科源蔵

(柴崎木彫鑑賞会編『木塊 柴崎重行の心』昭和55年7月)

木霊の再生 竹沢美千子著 プレコグ・スタヂオ p170からの引用

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。

7月に入りました。先月の6月は暑くなったり寒くなったりでしたね。例年にくらべると今年の6月は寒かったかも!?7月はどうなるのかな?7月もくれぐれも風邪などに気をつけて、体調管理してくださいね。

今回は、藤戸滝光さんの木彫りの熊の作品3点を取り上げてみたいと思います。滝光さんに関しては全然情報をもっていません。阿寒湖の藤戸竹喜さんの従兄弟、というくらいです。木彫りの老舗「民芸の青山」さんのおかみさんが言うには、”竹喜さんは、滝光さんの熊を研究して、そして努力して最高の彫り師になったんだよ”、と。

お店の常連さんも滝光さんは竹喜さんより腕がよかったんだよ、と言っていました。

インスタグラムなどでちらほら滝光さんの作品が見られますね。独特の雰囲気がありますよね。

冒頭で紹介した引用文の柴崎熊とは、対極と言ってもいいくらいの彫りの滝光さんや竹喜さんの熊。どちらも見る人を引き付ける何かをもっているようですね。基本的には、やはり『木彫り愛』、『木の心』が大事なのではないでしょうか!

滝光さんの経歴などに関して、これからまたいろいろわかったことがありましたら、その都度、更新していきたいと考えています。

今回の3点の作品はすべて這い熊です。いろいろな角度からの写真を載せてみます。

それでは、『木彫り愛』の心でよろしくお願いします。

目次

鮭喰い熊1  滝光作

最初に紹介するのは、シナノキの白木、一切塗料を塗っていない、なかなかしぶい熊です。

滝光作 鮭食い熊1 シナノキ白木(横から)

以前、私のブログで、「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方 基本編1~10というのがありました。四つん這いの熊を見る場合のポイントはここだよ~!っていうものです。

この滝光さんの熊は、迫力満点!です。四つん這いの鮭喰い熊ですが、これだけ特徴があると表情熊と言ってもいいと思います。鮭はうねるように彫られています。何といっても毛彫りの特徴が際立っていますね。短い毛彫りで全体的に勇ましく猛々しく表現しています。鮭を捕らえた後ですので、顔の表情は穏やかです。

滝光作 鮭喰い熊1 シナノキ白木(斜めから)
滝光作 鮭喰い熊1 シナノキ白木(上から)
滝光作 鮭喰い熊1 シナノキ白木(顔アップ)

顔をアップで見ると、とても穏やかで落ち着いた表情をしてますね。体の迫力あるゴツゴツ感とのギャップがこれまたいいですね。

鮭喰い熊2 滝光作

次の作品も鮭喰い熊です。先ほどはシナノキの白木でしたが、この作品はシナノキの色塗りです。早速作品を見てみましょう!

滝光作 鮭喰い熊2 シナノキ色塗り(横から)

この作品も先ほどの白木のようにゴツゴツ感満載で、迫力がありますね。鮭のエラやヒレの彫りが深く立体的です。鮭のひねりも入っています(体操の技のようですね(笑))。

アイヌ文化では高い山にいる熊ほど(神の)格が高いと言われていますが、まさにそのような風格が漂っているのではないでしょうか!?落ち着き払ったしぐさを想像できるのではないでしょうか。

滝光作 鮭喰い熊2 シナノキ色塗り(上から)

鮭のエラ、ヒレの浮き彫りがはっきりしてます。

滝光作 鮭喰い熊2 シナノキ色塗り(斜めから)
滝光作 鮭喰い熊2 シナノキ色塗り(顔アップ)

毛並みが短く細かいですね。しぶさ全開ですね。

鮭おさえ熊3 滝光作 

次の作品は、鮭おさえ熊です。鮭とりの最中を表現したものです。動きがあり、(鮭との)激しい格闘が見せ所です。この作品は、鮭を口にしながら、鮭をおさえています。格闘の終盤ですかね。完全勝利、目前です。

滝光作 鮭おさえ熊3 シナノキ色塗り(横から)

ホールド!勝負は決しました。見れば見るほど、なんというか、しぶさ、落ち着きが感じられる作品です。顔にあせりの色が感じられません。懐の深さ。余裕。この感想は人それぞれ違うと思います。そこがいいんです!自由に語りましょう!

滝光作 鮭おさえ熊3 シナノキ色塗り(上から)
滝光作 鮭おさえ熊3 シナノキ色塗り(斜めから)DSC_1315
滝光作 鮭おさえ熊3 シナノキ色塗り(鮭に食い込むツメ)
滝光作 鮭おさえ熊3 シナノキ色塗り(顔アップ)

顔のアップは山の神・キムンかムイの風格がでてますね。敬意を払われいる高い山の上の方にいるヌプリコロカムイですかね。

以上、藤戸滝光さんの作品を3点見てきました。(この熊を見たときの)人それぞれ印象が異なるとは思いますが、彫り込みはしっかりなされていて、作家さんの個性が表れています。

作家さんの情報は入り次第整理して、これからも発信してゆきたいと考えています。

では、最後までお付き合いしていただきまして本当にありがとうございました!

これからも『木彫り愛』の心でよろしくお願いいたします。

(参考資料)

・木霊の再生(竹沢美千子著 プレコグ・スタヂオ)

・「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いのわかる!「木彫りの熊」の見方
基本編1 鮭をくわえた四つん這いの熊(シナノキ)
基本編2 後ろ側の彫り方(肩やおしり)
基本編3 塗装などの仕上げ方について(シナノキ)
基本編4 彫り方いろいろ
基本編5 エンジュ材・埋もれ木(神代木)の熊
基本編6 イチイ材・センノキ・クルミの熊
基本編7 覚えておきたい熊の形10種類 前半(1~5)
基本編8 覚えておきたい熊の形10種類 後半(6~10)形が複雑に
基本編9 表情熊について
基本編10 形のユニークな熊

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