みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
3月に入って阿寒湖は、今年はあまり気温が上がらず、寒い日が続いています。春分の日が過ぎ、彼岸が明けても、今、外を眺めると雪が降っています。
とは言ってももう春は近し!終わりゆく冬の景色が名残惜しく感じられるのもそろそろですね。
北国の冬の風物詩?かな。では、除雪車(排せつ車)の豪快な写真をどうぞ~!(北海道の人には全然珍しくないですけど)
この作業を間近で見るとすごい迫力です!怖いくらいです。危険ですので、ほどほどに距離を保って見てくださいね。
それでは、今回は、本城靖雄さんの木彫りの熊とフクロウの作品を少し見ていきたいと思います。
本城さんの熊の作品は、当ブログ「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方シリーズ1に登場しました。
その時は、定番と呼ばれる鮭をくわえた四つん這いの熊、をどうみるか?について考察しました。木彫りの熊は、奥が深いのですが、シリーズ1のキーワードは、「鮭」でした。熊にくわえられている鮭です。
本城さんの作品では、その鮭の彫り方が、際立って特徴的で、リアルで手間ひまかけて彫られています。熊より鮭に目がいってしまうくらいです。
それでは、その本城さんの熊とかわいい木彫りのフクロウの写真をたくさん載せながら、見ていきましょう!(残念ながら本城さんは現役を引退されています)
『木彫り愛』の心で、気楽に読んでみてくださいね。それではよろしくお願いします。
本城靖雄作 鮭喰い熊
本城さんは、もう現役を引退されていますが、自分が印象に残っている事は、とても
「彫り」にこだわりがあり、妥協をゆるさない製作態度です。追求型の作家さんです。人柄は穏やかでやさしかったです。
今回紹介する熊は、本城さんのいわゆる定番の鮭喰い熊の中では、一番最後の新しい形です。鮭喰い熊だけではなく、「表情熊」なども彫ってきた表現力のある作家さんでもあります。熊とオジロワシの戦いの場面を表現した作品は圧巻ですね。またいつか紹介できたらと思っています。
定番の鮭喰い熊については、「木彫りの熊の見方」を参照してみてください。それでは、早速本城作の木彫りの熊を見てみましょう!鮭と流線型のお尻などに注目してみてください。
材料は、シナノキです。仕上げは、焼き仕上げです。焼き仕上げは、素材の木目を生かす仕上げです。一見すると、毛並みを彫っていないので(毛彫り)、簡単そうに思えますが、良い木目を見せるためのヤスリがけがとても大変です。
そして、「鮭」の彫り方にぜひ注目してみてください。まず、鮭のエラ、ヒレが浮き彫りになっています。次に、鮭の尾っぽです。跳ねています(曲がっています)。生き生きしています。獲りたてホヤホヤです(笑)。では、もう少し見てみましょう。
(3)の写真、鮭を獲るために、熊が踏ん張っている感じを出すために、お尻を流線型にしています。踏ん張り感、出てますよね~。躍動感も半端ない。
(4)は、上からです。これ木なの?っていうくらいツルツル感出てます。木目がとても美しいですね。肩が盛り上がって、肉付きがたくましく見えます。
定番の鮭をくわえた四つん這いの熊で、これだけ見所のある作品は、少ないです。本城さんのこだわりが炸裂してますね。「鮭」の彫り(浮き彫りと躍動感)、踏ん張り感を醸し出すためのお尻の流線型、肩の肉付き。これだけそろった「定番熊」は、なかなかお目にかかれませんね~。すごい!
もう1つ、本城さんの定番熊を紹介します。これも鮭をくわえた熊ですが、(本城さんの)古い昔の作品です。本城さんは、定番の鮭喰い熊だけではなく、吠え熊、葉っぱくわえ熊、表情熊なども彫っています(またいつかご紹介します)。
古い作品です。この頃から、「鮭」には、力を入れていたのですね。エラ、ヒレの浮き彫りがすごい!リアル感、あります!木彫りの熊は、やっぱ奥が深いなぁ~(しみじみ)。
以上、鮭がリアルな本城さんの鮭喰い熊を見てきました。
北海道の民芸のお店に行くと、昔は必ず木彫りの熊がありました。現在は、残念ながら作家さんが引退されたりして、少なくなってきています。定番と呼ばれた鮭をくわえた四つん這いの熊が少なくなっています。見かけたら、じっくり観察してみてくださいね。
次は、こんなリアルで迫力のある熊を彫ってきた本城さんのフクロウです。イメチェン?って思われるくらい熊とは違いますので、さぁどんなフクロウでしょうか、注目してみてくださいね!
本城作 フクロウの木彫り
本城さんの木彫りのフクロウは、主にエゾフクロウです。木彫りのフクロウでは、7~8割がシマフクロウです。エゾフクロウは少数派です。自然界のシマフクロウとエゾフクロウの違いは、その大きさです。シマフクロウは、とにかく”でかい”、”威厳がある”。頭の形も少し違っていて、シマフクロウは、ミミズクのような耳(正確には耳ではないそうです)があり、エゾフクロウは、頭が丸いです。そして、どちらかと言うと、かわいらしいですね。
アイヌ文化では、シマフクロウもエゾフクロウも縁起が良いです。
・シマフクロウ アイヌコタン(アイヌの人々が住む集落)の守り神。
幸福をもたらしてくれる神。
・エゾフクロウ アイヌの人々にとって大切な食糧源の熊の居場所を教えてくれる神。
金運の神
それでは、本城さんのフクロウを見ていきましょう!
本城靖雄作のエゾフクロウです。材料は、シナノキです。着色はしていません。
いかがでしょうか?かわいいですよね~!先ほどの定番の鮭食い熊のイメージとはずいぶん違いますよね。しかし、このエゾフクロウは、実はかわいいだけじゃないんです!ここでも本城さんのこだわりがあります!
これは、本城さんが力説していたのですが、そして研究に研究を重ねたらしいのですが、ポイントは、「目」です。
目の玉です。上下左右どの角度から見ても、目の玉が”丸く”見えるように、試行錯誤しながらやっと完成させたそうです。ホントどの角度から見ても目の玉が丸いです。すごい!
そして、目の玉の縁取り(まわり)をきれいに切り取って(ここも技術が難しく、手間がかかるそうです)、目を強調しています。
本城さんの作品を手本にして、別の作家さんが彫られた作品があるのですが、フクロウの形はだいたい同じなのですが、「目」、「目の玉」の彫りかたが全然違うのです。目が違うとそのフクロウが全く違ったものになります。さすが、本城さん!そう簡単に真似できない技術を鍛錬して習得しています。
それでは、本城さんのシマフクロウを見てみましょう。基本的には、形は同じです。”耳”があるかないかの違いだけです。
本城作シマフクロウは、材料はシナノキです。着色しています。”耳”があるのがシマフクロウです。やはり「目」がはっきり強調されていますね。愛らしさが湧いてきます。
以上、本城さんのフクロウを紹介してみました。
本城さんは、現役を引退して、10年以上は経ちます(正確には覚えていません、すみません)。個性のある作品をつくる作家さんでした。引退が惜しまれましたが仕方ないですね。現在、木彫り作家さんがだんだん少なくなっているのは、事実で、いささか心配ですね。
でも、若い作家さんたちも育ってきているそうです。「昔とは違う時代にあった作品」とは、どういうものなのか?手探りで探しています。(自分自身は)作品をみる目を、もっともっと磨いていきたいと思っている今日この頃です。
それでは、今回はこれで終わりです。最後までお付き合いしていただきまして、本当にありがとうございます!これからも『木彫り愛』の心でよろしくお願いいたします。お元気で!
・「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方
・木彫りのフクロウの見方
1 台座の彫り方
2 フクロウの数・ツメや目など
3 エンジュ材のフクロウ
4 埋もれ木(神代木)のフクロウ
5 イチイ材・センノキ・クルミのフクロウ
6 翼・羽を広げたフクロウ 技術力
7 羽を広げたフクロウ 動と静
8 ユニークな形のフクロウ
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