67. 木彫りのフクロウの見方 6 翼・羽を広げたフクロウ 技術力

アイヌ文化

みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。

前回までは、「木彫りのフクロウ」の形は、普通タイプ(枝に留まっていたりして、翼・羽をすぼめた形)を取扱ってきました。

今回から、2回にわたって、翼・羽広げ」タイプの形を見ていきたいと思います。

「翼・羽広げ」タイプは、彫りの技術が難しいだけではなく、意外ですが、材料も太く彫り込みの時間がかかります。

また、「翼・羽広げ」のデザインは、どの作家さんも彫れるというわけではなく、希少価値があります。ですので、木彫りの民芸品店でも、ベテランの限られた作家さんのしか置いていません。置いてありましたら、じっくり観察してみてくださいね!


それでは、みなさん、『木彫り愛』の心で、リラックスして、気楽にお読みくださいね!

目次

翼・羽広げの「木彫りのフクロウ」

・旭峰作

まずは、旭峰さん「翼・羽広げ」作品を、いろいろな材料で、見てみましょう!

旭峰作 シマフクロウ羽広げ 正面 (シナノキ白木)
旭峰作 シマフクロウ羽広げ 後ろ (シナノキ白木)

材料は、シナノキですね。下の丸太台に、枝のりの羽ばたきシマフクロウを置いています。

「翼・羽」の細かいところまで、正面後ろ面に、しっかり彫っています。

「翼・羽広げのフクロウ」は、彫り上げたとき、フクロウの胴体が小さくなるので、一見すると、全体のサイズが小さく思えますけど、彫り始めの丸太の大きさは、思った以上に、太いですね。

少なくても、この作品の下に敷いてある丸太よりは、太いですね。

次に、エンジュの作品を見てみましょう!

旭峰作 シマフクロウ羽広げ 正面 (エンジュ)
旭峰作 シマフクロウ羽広げ 後ろから羽を見る (エンジュ)

旭峰さんのエンジュの材料の羽広げです。

エンジュになると、やっぱり木目が目立ち美しいですね。かつ、その色合いから重厚感が漂ってきますね~!

先ほどのシナノキとデザインは同じです。しっかり、羽を細かく彫っています。エンジュは、材料が堅く、彫るのが難しくなります。

写真では、下の台がありませんけど、ちゃんとありますので。

次の写真も旭峰さんの作品です。

旭峰作 シマフクロウ羽広げ 正面(埋もれ木)
旭峰作 シマフクロウ羽広げ2羽上下 (シナノキ色)

1つめは、埋もれ木(神代木)です。とても渋いですね~!木ではないみたい。それにしても、木目が美しいですね~!

羽も細かく彫ってます。

埋もれ木は、基本的には、堅く、彫りにくいです(埋もれ木は、材料に当たりはずれがあります)。

2つめは、シナノキの色塗りです。すべて1本の木から彫り上げています。上下2羽タイプで、羽を広げているのは、バランスがとても難しく、彫りのレベルが高いです。

・金岡茂之作 羽広げシマフクロウ

金岡さんの作品です。金岡さんも超有名な木彫り作家さんです。何でも彫れる作家さんで、自分の中では、チャレンジ精神のあるとても腕の良い作家さんですね。かわいらしい熊も彫っていました。また、オオカミ、キツネ、タヌキ、ナキウサギ、エゾリス、イヌ、ネコ、パンダなど諸々です。すごいです!

金岡作 シマフクロウ羽広げ (シナノキ色)
金岡作 シマフクロウ羽広げ アップ (シナノキ色)

下の台座から、すべて1本で作られています。バランスが難しいですよね。

羽などは、細かくは彫っていませんが、(フクロウが)飛んでいる動きが感じられます!

デザインが、とてもおもしろいですね!

・成鵬作(金村作) エンジュのシマフクロウ

それでは、成鵬(金村)さんのシマフクロウを見てみましょう!

成鵬作 シマフクロウ羽広げ1(エンジュ)
成鵬作 シマフクロウ羽広げ2(エンジュ)
成鵬作 シマフクロウ羽広げ3 (エンジュ)

成鵬(金村)さんの作品です。

下からすべて1本彫りです。先ほどの旭峰さんの羽の広げ方とは、違うタイプですね。縦に長く材料を使用しています。

堅いエンジュ材をよく彫っています。台座の感じもいいですね。ツメもしっかり彫り上げています。

奥行きのあるデザインで、羽の形も工夫がみられます。

カッコいい!シマフクロウですね!

・康則作 エンジュのシマフクロウ

では、次に康則さんの作品を見てみましょう!(デザインの)おもしろい作品です。

康則作 シマフクロウ羽広げ 正面 (エンジュ)
康則作 シマフクロウ羽広げ 上から (エンジュ)

エンジュの丸太の形を生かす形で彫り上げています。下からすべて1本彫りです。

魚つかみの形ですね。ツメの彫りも丁寧ですね。後ろから見た羽の木目が美しいですね。

以上、4人の作家さんの「シマフクロウ羽広げ」の作品を見てきました。

何度も言ってしまいますが、作家さんによって、それぞれ、ホント個性がありますよね~。そこが、おもしろいです。フクロウの場合は、その個性の違いが顕著になりますね。

それでは次回は、残りの二人の作家さんの「翼・羽広げフクロウ」の作品をとりあげていきます。

みなさん、『木彫り愛』の心で、これからもよろしくお願いします。

最後まで、お付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!

お元気で!


木彫りのフクロウの見方 1 台座の彫り方
木彫りのフクロウの見方 2 フクロウの数・ツメや目
木彫りのフクロウの見方 3 エンジュ材のフクロウ
木彫りのフクロウの見方 4 埋もれ木(神代木)のフクロウ
木彫りのフクロウの見方 5 イチイ材・センノキ・クルミのフクロウ
木彫りのフクロウの見方 7 羽を広げたフクロウ 動と静
木彫りのフクロウの見方 8 ユニークな形のフクロウ
木彫りのフクロウ ⑨フクロウ観音

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