(柴崎重行75歳時のインタビュー)
~野生のクマ、あれは神様の作ったものだから完ぺきに違いない。それをまねしようたって、神様に勝てるわけがない。まねてもだめだから自分なりに内容をつかんで、自分のものを作ることが許されるんじゃないですか。~
(『わたしの北海道』朝日新聞、昭和52年9月13~17日)
木霊の再生 竹沢美千子著 プレコグ・スタヂオ p214
みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
今年の秋は、例年とくらべて暖かく感じますね~。ゆっくり季節がすすんでいますね。
と、のんきにかまえていると、急に雪が降ったりする時期ですので、油断禁物といきたいところです。
家庭菜園を久しぶりに眺めていると、あれっ!なんか小さな花が咲いている!この時期に!なんだなんだ!
詳しいことは、全然わからないのですが、しそ(大葉)の花って、今時期に咲くのですね。小さな花で、かわいらしいですね。クリスマスツリーの電飾のようです。ほんと、わからないことだらけですね。しそと大葉が、言い方が違うだけで、同じってことも知りませんでした。
小さくて、さりげない、かわいい花ですね。
癒されました~!
さて、今回は、イチイの材料で彫られた「木彫りの熊」の作品を、2回わたり、計4つ紹介したいと思っています。
まず、2点の作品を見てみます。
私のブログ「木彫りの熊の見方」でもこれらの写真を少し掲載していましたが、今回は、たくさん写真を載せます!
それでは、『木彫り愛』の心で、リラックスして、気楽な気持ちで、読んでみてくださいね。
今回の作品では、冒頭の引用文のように、作家さん自身なりに、思う存分表現しています。とても素晴らしい作品です(あくまで主観ですが・・・)。
では、よろしくお願いします!
1.阿野洋二郎作 表情熊a 立ち熊(左向き)イチイ材
1つ目と2つ目の作品は、故・阿野洋二郎さんの作品です。
阿野洋二郎さんとは、個人的には、お話したことはありませんでしたが、札幌で開催される見本市などで、そのお姿を拝見したことは何度もございます。いつも奥様とご一緒に、各問屋さんをまわっていらっしゃったようでした。
いまでも昭和新山で、「熊乃屋阿野みやげ店」は、健在でして、奥様と娘さんが経営していらっしゃるそうです。
木彫りの熊の好きな方とお話ししていますと、阿野さんの話しは、ちょくちょく話題に上ります。
それでは、1つ目の作品です。熊の表情や仕草が表現されている表情熊です。
本当に、きれいなイチイの材料ですね。イチイは、節(ふし)が多く、取扱いにくい材料なのですが、見事ですね!
彫りは、毛彫りです。イチイの木では、毛彫りはとても珍しいですね。
鮭のエラ・ヒレが浮き彫りで、熊の肩の盛り上がりやウエストからお尻にかけての滑らかさ。
表情熊ですので、熊の仕草ややわらかさ、豊かさがしっかり表現できています。さすがですね!
さらにもう少し写真を見てみましょう。
ボディラインから熊のしなやかさ、やわらかさが感じられますね。材料もホントきれいですね。作家さんのこだわりが、みえてきます。
2.阿野洋二郎作 表情熊b 立ち熊(右向き) イチイ材
阿野洋二郎さんの2つ目の作品です。
1つ目と似ているのですが、熊の向きと鮭に手をそえているかいないかの違いです。
右向きの立ち熊です。やはりイチイの材料は、きれいですね。
鮭をくわえている所に、手をそえています。もう少し写真を見てみましょう。
黄色ところは、イチイの外側の色です。着色はしていません。天然の色です。
この作品のイチイ材は、一切、塗料は塗っていませんね。透明のワックスやラッカーも塗っていません。
イチイの木は、雌雄異株(しゆういしゅ)で、オスの木とメスの木があります。この作品のイチイ材は、オスの木?かもしれません。
昔、他の職人さんから、こう教わりました。
「色がすぐ濃く変わってしまうのが、メスで、オスはゆっくりゆっくり濃く変化していくんだよー」
たしかに、イチイの作品をいろいろ見比べると、濃いのと薄いのがあります。どちらが良いとか悪いとかは、見る人の好みだそうです。私にそのように教えてくれた職人さんは、「俺は、オスのほうが好きだなぁ~、あくまで木の話しだよ~(笑)」とおっしゃっていました。
この作品では、熊のやさしさ、やわらかさがホント感じられます。手にとってみると、より一層、そう感じることが不思議ですね。
後ろから見た熊のおなかの垂れ具合がとてもいいですね~!
最後の2枚はアップの写真です。表情がいいですね~!
以上、今回は、故・阿野洋二郎さんの作品を2点、写真を中心に見てみました。
表現力のある魅力的な熊でしたね。イチイ材で彫られた熊は、ホントに少なく、さらに毛彫りされている作品は、もっと少ないと思います。
それでは次回は、イチイ材で彫られた作品の残り2点を少し見てみます。
最後までお付き合いしていただきまして、大変ありがとうございました!
お元気で!
(参考資料)
・木霊の再生(竹沢美千子著 プレコグ・スタヂオ)
木霊の楽園!北海道!樹木をみよう~(2)イチイ、津別町21世紀の森
「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方
・基本編1 鮭をくわえた四つん這いの熊(シナノキ)
・基本編2 後ろ側の彫り方(肩やおしり)
・基本編3 塗装などの仕上げ方について(シナノキ)
・基本編4 彫り方いろいろ
・基本編5 エンジュ材・埋もれ木(神代木)の熊
・基本編6 イチイ材・センノキ・クルミの熊
・基本編7 覚えておきたい熊の形10種類 前半(1~5)
・基本編8 覚えておきたい熊の形10種類 後半(6~10)形が複雑に
・基本編9 表情熊について
・基本編10 形のユニークな熊
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