みなさん、こんにちは~。
ごきげんいかがですか~。
木彫り屋店長 まさまるです。
日一日と、太陽の暖かさが心地良くなりはじめています。毎冬のことですけど、太陽光線のありがたさを、これから存分に思うことでしょう!北国ならでは、ですかね。
阿寒湖温泉は、例年よりゆっくりですが、冬の気配が漂ってきました。
観光のお客様は、10月に入って、徐々に増えているものの、コロナ前には、全然及びません。日常がなかなか取り戻せない観光地ですね。
紅葉・黄葉は、深まっています。ハルニレやヤチダモは、葉っぱが散ってしまうのが早いですね~(カツラ、オニグルミも意外と早いかも)。
ヤマモミジ、白樺、ナナカマド、ヤマナラシなどの色が変わり、または、変わりつつあります。
さて今回は、前回に引き続き、イチイ材で彫られた「木彫りの熊」を見ていきましょう!
前回は、故・阿野洋二郎さんの表情熊、2点でした。表現力、彫りが素晴らしかったですよね!
次に紹介する熊は、這い熊(はいぐま)です。四つん這いになっている熊です。
技術力がないとできない吠え熊です。
形は、定番になりますが、この熊は、8号の規格になりますので、横幅は、25cmくらいです。奥行きは、15cmくらいです。
イチイの材料で彫る木彫りとしては、決して、小さくありません。
定番の吠え熊ですが、イチイ材のものとなると、ぐ~んと数が少なくなります。
木彫りの専門店でも、(8号サイズ以上は)あまり見かけることはできないかもしれません。
それでは、『木彫り愛』の心で、リラックスして、楽しみながら見ていきましょう!
よろしくお願いします!
イチイの吠え熊(這い熊)
透明の塗装はしていますが、着色は、一切していません。
イチイの色は、独特で、何かひきつけられるものがありますよね。深みがありますね。
木目の感じが、またいい!前足と後ろ足のところの木目が何とも言えない!
彫りに関しても、肩が盛り上がって、ウエストがしまって、またお尻が盛り上がる。“威嚇”の迫力が出てますよね。
残念ながら、作者は不詳です。もしおわかりの方がいらっしゃりましたら、教えてくださいませ!
それでは後ろのほうからも見てみましょう。
「これは、木の色ですよ~、透明の塗装は塗ってますけど」、と見ている方々に説明しますと、はじめてのみなさんは、びっくりされます。
「何ちゅうー、(木の)色やねん(笑)」と。
「これ、天然(色)か~、わお」。
これまで木彫りをご覧になってきた方々は、「そうだよね~、やっぱりオンコ(イチイの木の方言)は、独特でいいね~」って、感心されます。
イチイの材料は、太ければ太いほど、見る人々の心を動かします(イチイ材は成長が遅くあまり太いのがありません。太くなったらなったで神木となり、木を切ることができません)。もちろん作品の彫りや表現力は、大事ですね。
自分自身は、今でも、自然のイチイの樹木をみると、その気品と存在感に驚かされます。
「やっぱイチイは、何かが違うんだよね~!」
アイヌの言い伝えでは、イチイの木は、ラルマニ姫。火の神様が地上に降臨される時、火の神様に抱えられてチキサニ姫(ハルニレ)とともに降りてきました。
右手にハルニレのチキサニ姫、左手にイチイのラルマニ姫。
ハルニレがアイヌの人々の生活で、火、衣服などで大事だったように、イチイもやはり、アイヌの人々の生活には、欠かすことのできないものでした。
狩りなどで使用する弓、仕掛け弓(アマッポ)、衣服などを(赤く)染める染料など。また、果実は食糧にもなりました。詳しいことは、私のブログ「木霊の楽園!北海道!樹木をみよう」シリーズや「アイヌ文化とイチイ」の記事に書かれていますので、参考に読んでみてくださいね。
それでは、この作品の顔のアップです!
次に紹介するのは、同じくイチイで彫られた吠え熊です。一本のイチイ材から彫られた這い熊です。早速、写真を見てみましょう!
佐藤一二三作 イチイ材 一本彫り 吠え熊
イチイの木の外側の黄色の部分も生かしていますね。
一本彫りは、台座を彫らなければならないので、少し手間がかかります。また、全体のバランス感覚が大切になってきます。
吠えてますけど、顔がかわいいかも(笑)
作者の佐藤一二三さんとは、20年くらい前にお会いしたきりで、現在は、どのような暮らしをしているのか、残念ながらわかりません。たしか、今年で、90歳になるはずですけどね。もう引退はされていることでしょうね。
年々、実績のあるベテランの作家さんが、引退されると寂しくなります。だんだんと、独特で個性のある作品が少なくなっているなぁ~と肌身で感じています。
若い作家さんに大いに期待しています!応援します!
直径25cm以上のイチイ材で彫られています。イチイ材の木彫りの熊では、決して細くはありません。
やはり独特の色と圧!ですね。
イチイの材料の「木彫りの熊」は、意外と少ないので、見かけたらじっくり観察してみましょうね。
イチイの木は、北海道の市町村の木として、とても人気があり、直径が50cm以上の名木もたくさんあります。
「神木(しんぼく)」として扱っている地域も多いですね。成長が遅く、何となく威厳が感じられるから、かもしれません。
駆け足で見てきましたが、最後に、津別21世紀の森のイチイの木の写真です。
感嘆!
またぜひ、訪ねてみたいと思っています。いつ見ても、感動します!
ということで、今回は、これでおしまいです。
最後まで、お付き合いしていただきまして、本当にありがとうございました!
『木彫り愛』で、これからもよろしくお願いします。
お元気で!
・木彫りの熊(14)~イチイ(オンコ)① 逸品!阿野洋二郎さんの作品
「”木彫りの熊”好き」の方には読んでほしい~価格の違いがわかる!「木彫りの熊」の見方
・基本編1 鮭をくわえた四つん這いの熊(シナノキ)
・基本編2 後ろ側の彫り方(肩やおしり)
・基本編3 塗装などの仕上げ方について
・基本編4 彫り方いろいろ
・基本編5 エンジュ材・埋もれ木(神代木)の熊
・基本編6 イチイ材・センノキ・クルミの熊
・基本編7 覚えておきたい熊の形10種類 前半(1~5)
・基本編8 覚えておきたい熊の形10種類 後半(6~10)形が複雑に
・基本編9 表情熊について
・基本編10 形のユニークな熊
コメント
大変興味深いお話、有難うございます。木彫りの熊が一層好きになりました。フクロウの話も聞けると良いのですが。
コメント、ありがとうございます。
これからもいろいろな作品を載せていきたいと考えております。
シマフクロウの作品もどんどん見ていきたいですね。
よろしくお願いします。
ありがとうございました!